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200話 本当の気持ち ページ5

蒼真「赤井さん、本当はあの子は弱い人間なんですよ。そして自分の弱さを見せる術を知らない。こんな年寄りを頼らなければ貴方にさえ、自分のことを伝えることができない小心者です。」

赤井「…!」

蒼真「貴方をここに来させるためにこんな手帳まで置いて。」

そう言って蒼真さんは俺の手に握られたままの手帳を見つめた。
なら、この手帳はわざと置いて行ったのか…?


蒼真「Aならまだ駅にいるはずです。赤井さん、あの子のことをよろしくお願いします。」

赤井「…っ」


俺は病室を飛び出し、駅に向かった。






Aside…


そろそろ時間か。


時計を確認し、新幹線に乗ろうとした時だった。
後ろから誰かに突然腕を引かれた。


赤井「…はぁ、…は、Aさん…」


走ってきたのか息が乱れている。


『秀一、君?』



新幹線のドアは閉まり発車した。
最終だったこともあり周りに人はいない。

『…早いじゃないか。俺の計画ならもう少し先のはずだが』


秀一君は俺の腕を掴む手に力を込めると涙を貯めた目を真っ直ぐこちらに向けた。


赤井「…貴方は自分勝手だ」

『…。』

赤井「…俺は貴方のことを何も知らない」

『…ごめん』

赤井「でも」


秀一君は俺シャツの襟元を掴みぐいっと引いた。


赤井「一つだけ確かなことがある。」


涙こそ目尻に溜まっているが、先程の表情とは違い少し勝気な笑みを浮かべている。


『へぇ、それは?』


俺もそれに応えるように笑みをうかべた。



赤井「それは、貴方が俺を相当好きなことだ。」



『…!』



触れるだけのキス。
視界が明るくなり意地の悪い笑みの秀一君が見えた。


俺は離れようとする秀一君の手首を掴み腰を引き寄せた。


『ついでに一つ教えてあげる。俺は秀一君が思っている以上に君が好きだ。』


先程のお返しとばかりに強く抱きしめる。


赤井「…Hai bisogno di me?」


耳元で小さく囁かれたイタリア語。
イタリア語は分からないと言っていたくせに。


『……Ho bisogno di te.』


秀一君が満足気に笑ったのを確認し、ゆっくりと離れた。


『さて、ホテルでも探すか。もう家にもイタリアにも帰れない』


ポケットにしまってあった飛行機のチケットを破きゴミ箱に入れた。





(…俺が必要か?)

(……あぁ、俺には君が必要だ。)

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聖椏(プロフ) - な、何年振りですか!!更新めちゃくちゃ嬉しいです!!!リアルタイムで最初だから追ってたのでまさかまた更新してくださるとはずっと待ってました!!!!!! (2月26日 8時) (レス) @page6 id: 8c8f59827c (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 続きお願いします! (2023年1月25日 21時) (レス) @page5 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
やまびこ - これで終わられたのでしょうか?是非続きを書いていただけませんか?とても心惹かれた作品です!! (2023年1月1日 3時) (レス) @page5 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 面白かったです!更新頑張ってください!!待ってます!! (2020年6月23日 19時) (レス) id: 8704b5e388 (このIDを非表示/違反報告)
るー(プロフ) - いつまでも待ってます! (2020年4月18日 1時) (レス) id: 78d5e6cd97 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:moa | 作成日時:2017年11月5日 17時

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