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贈り物 ページ2

少年…Aと出会って数年がたった。
長く黒い髪は赤い紐で結び、顔は半紙で出来た面で隠している。
どうして顔を隠すのか、と聞いても「時が来たら話します」と言うばかり。
顔を見たのは出会った時の一度きり。


はて、一体どんな顔だったか…

黙って半紙に手を伸ばしてみてもヒラリと避けられる。


『ところで今日はどちらまで?』

「ここですよ」


そう言って呉服屋に入るとAは不思議そうな顔をした。
まぁ口元しか見えないが…大体分かるようになってきた。


「いらっしゃい、おや。薬売りの旦那じゃないですか。いつもので?」

「いや、今日はこの子の着物のを買いに来やした」

『え、俺のですか』

「その着物の裾も、随分と短くなってきた」


子供の成長は早いものであっという間に身長が伸びてきた。
もうすぐ俺を越すんじゃないか?

Aは金のことを気にしてるようで少しあたふたとしている。


「どう言ったものをお探しで?」


店主の問に店を見渡すと紫を基調とした着物に目がいった。
Aの黒い髪と穏やかだが色のある雰囲気によく合うだろう。


「…これが いいですかね」

「おぉ、これはいい。きっとよくお似合いになる」

『いや、でも…』


やはりまだ金を心配しているのだろう。


「出世払いでいいですぜ」


冗談でそう口にすれば、Aは『必ず』と言った。



呉服屋を後にすれば、次の目的地が見えてきた。


「そう言えば、Aは幾つになるんですかい」

『今日で丁度十四に。』

「おや、今日が生まれた日でしたか。なら丁度いい。これを」


差し出したのは自分のものと同じ首飾り。


『お揃いですか』

「嫌でしたかい?」

『いえ、そんなことは…ありがとうございます。』


Aは受け取ると自分の首に付けた。


「…決して、外さぬように してくださいね」

『?…はい、分かりました』

「さて、着きましたよ」

『ここですか。』


Aはそう言って目の前の大きな屋敷を見上げた。

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- 続き楽しみです! (2020年4月3日 16時) (レス) id: 28ee4bfc20 (このIDを非表示/違反報告)
林檎飴(プロフ) - モノノ怪の作品少ないんで凄く嬉しいです。今後も更新頑張ってください! (2017年7月27日 15時) (レス) id: 87903ff8ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:moa | 作成日時:2017年6月27日 6時

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