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37話 ページ38

諸伏side…


翠川「な、ならあんたは…」


A君も変装を解き翠川さんを見つめ返す。


翠川「その目元のふたつのほくろ…Aさん、なんだろ?彼女から度々話は聞いていた。彼女が亡くなってから何度も何度もあんたがあおちゃんの結婚相手なら良かったのにと思ったよ。…どうしてあおちゃんを置いて行ったりしたんだ…。」


その言葉にA君は少し驚いた顔をした。
しかし何かを悟ったように目を細め口を開いた。


『翠川さん、俺と葵は元々そんな関係じゃないんだ。』

翠川「だ、だが…あおちゃんはずっとあんたの話ばかりして…」

『葵が好きだったのは俺じゃない。諸伏の事だ。』


諸伏「え…」


思わぬ言葉に思わず声が漏れた。


『下校中は毎日のように諸伏の話を楽しそうに話してた。だがある日を境にそれが無くなった。告白した訳でもなければ諸伏が他の奴と付き合った訳でもない。理由はわからないがなにか吹っ切れたような清々しい顔をしていたよ。』


…それはきっと僕がA君を好きだと自覚したあの日だ。
困惑する僕を優しく落ち着かせてくれた彼女。
けどA君が言っていることが本当であれば、あの日彼女は一体どんな気持ちで僕の話を聞いてくれてたのか。
どんな気持ちであの本を書いたのか。

酷く申し訳ない、情けない気持ちになった。



『…諸伏が無事だったから良かったものの、あんたは葵が大切にしてたものを2つも奪おうとした。最初は自首を勧めようとしていたが…』


A君は腰を下ろし翠川さんと視線を合わせた。


『諸伏に手を出して俺を怒らせたのが運の尽きだ。俺はあんたを絶対に許さない。』


そういって翠川さんを睨みつける。
こんなに感情的な彼を初めて見た。


翠川「…あおちゃんが刑事さんを諦めた理由、分かった気がするよ。はは、許さない、か…」


翠川さんはそう言って両手を前に出した。
そこに手錠をかけると小さな声で呟かれた。


翠川「…あの本の結末、変わるといいな。」


その言葉で翠川さんがあの本を読んでいて、僕の想い人がA君だと勘づいたのだと分かった。


諸伏「…いえ、最初から諦めてますよ。」

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もん(mon)(プロフ) - Excuse meさん» すみません!友達が使いたいと言っているのでこちらの作品はご遠慮ください…>_< (2023年1月31日 13時) (レス) id: 1f4439cdc8 (このIDを非表示/違反報告)
Excuse me(プロフ) - pixivで書いてもよろしいでしょうか?主人公の名前、タイトル変えます (2023年1月31日 12時) (レス) id: 880b7bddc6 (このIDを非表示/違反報告)
山さん - 好きぇぇぇぇぇぇえす!!!!!高明さん可愛いひろ可愛いみんな可愛いご馳走様です更新楽しみにしています(( (2023年1月27日 14時) (レス) id: df5dd681a2 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。面白いです。主人公君と諸伏警部の絡み最高です。主人公君と長野県警組の絡み面白いです。 (2023年1月13日 16時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - 絵は自分で書いたのですか? この主人公のCVは島崎信長さんかな? (2023年1月12日 19時) (レス) @page1 id: 880b7bddc6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もん(mon) | 作成日時:2023年1月3日 10時

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