【諸伏高明】初恋の拗らせ方【男主】

15話 ページ16

Aside…


『もしもし。』

景光[今どこ？何時に帰ってくんの？]


電話から聞こえる景光の声は不機嫌そうだ。


『すまない、事件の捜査で長野に来てて今日は帰れそうにないんだ。』

景光[だったら連絡くらいくれても良いだろ？夕飯せっかく作ったのに…]

『ちょっとバタバタしててな。俺の分の夕飯、取っといてくれ。明日帰ったら食べるから。』


バタバタしていたのもそうだが、本当は諸伏にこのスマホを見つけて貰うためにわざと連絡しなかった。
俺から連絡がなければ景光からかけてきてくれることは想定内。
その着信で気付くようにわざと目立たない場所にスマホを置いといた。
今まで組織に潜入していて安否も不明だった景光が、無事生きていることをどうしても諸伏に伝えたかったのだ。


景光[もう…。ちゃっちゃと解決して帰ってきてよ？]


『あぁ、頑張るよ。Bonne nuit, fait de beaux rêves.(おやすみ、良い夢を)』ﾁｭｯ

景光[ありがとう、Aもね]ﾁｭｯ



電話を切ると諸伏から鋭い視線が刺さった。

…安心するかと思ったのに逆に不機嫌そうだ。
これは想定外だ。


コナン「諸伏刑事、ずっとAさんを睨んでるけど一体何したの？」ｺｿｯ

『…さぁ、俺は一体何をしてしまったんだろうな。』



今日は大和の家に泊まることになった。


上原「Aさん、良かったら希望の館まで送りますよ。車、置きっぱなしですよね。」

『あぁ、そうだった。』

敢助「そうだったって、お前…高級車なんだからもう少し気ぃ使えよ。」


ICPOの車だし、カーチェイスで何台も廃車にしてるから今更そんな気は起きない…とはいえずに苦笑いするしか無かった。


『でも嬉しいな、もう少しだけ君と居られるなんて。』


そう言って上原さんの手をとり、手の甲にキスを落とす。


諸伏「…。」

コナン「(げっ…諸伏刑事の圧が増した気がする…まさか、な)」


コナン「Aさん、それなら諸伏刑事に送ってもらったら？」


コナン君は猫かぶりな声でそう言った。

いや、何考えてるんだ。
俺が諸伏に睨まれてるの気付いてるだろ？


上原「それもそうね。久々に会ったんだから話したいこともありそうだし。」

大和「そうだな、それがいい。んじゃ、頼んだぜコウメイ。」

『あ…』


上原さんと敢助君はそう言うと歩いていってしまった。

残されたのは諸伏とコナン君と俺だけ。

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