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｢はい出来ましたよ病人｣
｢どうもありがとう巨神兵｣
｢巨神兵て笑 焼き殺したるわ｣
ほんとは｢喰ってやろうか｣とでも言いたかったんだけど自分がその気になりそうだからやめた。
特製の煮込みうどんをAの目の前に置くと、彼女の目がキラキラと輝く。
熱のせいかな、今日はAのテンションが高い。
Aは出来たての煮込みうどんを1本吸い込むと、んー！と唸った。
｢おいしい。ありがとう｣
｢俺にも1本ちょうだい？｣
あんまり美味しそうに食べてくれるから、自分が作っておきながら食べたくなって、Aに向けてがばっと口を開ける。
……決して間接キスしたいからとかそういうのではない。
｢まじで風邪移しちゃうから使ってない箸持ってきて｣
ああそうか、こいつ風邪だったか＿＿とうまく丸め込まれて、彼女を見る。
そういえば、熱はありそうだけど声がガラガラだったり鼻が詰まってたりっていうのは無いんやな。
風邪か？これ。
｢大倉いつ帰るの？｣
｢まだ帰るつもりない。てかうどん食べさせてよ｣
｢まだ言ってんの？移っても知らないからね｣
俺が中１の頃、ちょっとしたいじめみたいのにあったことがある。
俺をまるで空気のように扱うクラスの人達がそろそろ本気で嫌になってきたころ、朝起きたら突然頭がクラっとした。
それが初めての知恵熱だった。
｢…なんかさ、熱出たときって無性に一人でいんの寂しくならん？｣
そんなにあの二人と上手くいってないのか
はたまた渋谷先生にとんでもないことされたか
｢7時59分まで宿題やっててええ？｣
Aママが帰ってくる時間までには余裕でノート作り終わるんだけどね。
ほら、しんどい時にそばにいれるのが"同級生"やから。
「大倉ってさ」
｢うん？｣
「最近イケメン極めてるね」
一瞬びっくりして、Aの顔をまじまじと見つめるけどその表情にかつての恋心の影はなくて。
もう俺じゃないんだって、改めて思い知らされる。
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作者名：吉田マーメイド | 作成日時：2018年6月12日 23時
