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なんだ。この期に及んで自惚れか。
わたしには渋谷先生がいるのに。
無意識レベルでこんなこと言うわたしは、一体何を求めているのか。
｢ごめん、調子乗っ＿＿｣
｢おるんやったらこんなことすんなって？｣
静かに笑った。
静かに怒った。
押し殺したような声と棘のある言い方が、馬鹿だけどKYではないわたしの背中の温度を下げていく。
寒くなると同時に、この会話には絶対に超えては行けない1本の線があって、それを超えてしまうともう二度とこの関係には戻れないであろうものがあることも察した。
｢＿＿う、ん。取っときなよ、好きな子にするために。その子に誰にでもそういうことするやつなんだなって思われるよ？ それでなくても顔そういう感じなのに｣
｢顔のくだりは完全に悪口やんか笑｣
＿＿うまくかわせた？
大倉のいる方からシャーペンの擦れる音がしてきた。
よし。もう忘れて。この話は…
｢Aにしかこういうことせえへんって｣
喉の奥で冷たい風が通る。
わたしは馬鹿だけどKYじゃない。
例えば少女漫画みたいな、どっからどう見ても相手のイケメンお前のこと好きじゃんバカヤローみたいなのであっさりスルーしちゃうような、そういうカマトトぶった器用さも無い。
そんなこと、誰が1番わかってるって
どう考えたってあんたなのに。
｢なんでよ、あんたがボディタッチしてきたら女の子なんて一発で落ちるよ｣
｢いやー俺の好きな子はそんなことでは落ちなかったなー手強かったー｣
さっきあんたが言ったんだよ。
『わたし以外には』しないんでしょ。
｢そんな子いるんだね、大倉が落とせない女の子なんて｣
わたしの初恋はあんただよ。
｢ねえA、俺最近わかったんだけど｣
大倉が、尻ずりでわたしの隣まで移動してくる。
肩が触れるか触れないかの距離に、自然と緊張が筋肉を張り詰めさせた。
｢俺の好きな子には好きな男がおって、どんだけ俺んとここい、俺んとここい、ってやってももう無理っぽい｣
大倉の長い腕が、わたしの頬を掠めて。
｢慰めて？｣
一線を超えてしまったのが怖いのか、
渋谷先生のことを思い出したからか、
大倉の唇が触れる寸前に、涙が頬を滑った。
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吉田マーメイド(プロフ) - ガトーショコラさん» 嬉しいです、ありがとうございます！ 更新頑張ります！！ (2018年2月24日 21時) (
レス) id: 9ba4e3874c (このIDを非表示/違反報告)
ガトーショコラ - 応援してます！がんばってください！ (2018年2月21日 7時) (レス) id: f84bf72a85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田マーメイド | 作成日時：2018年1月31日 21時
