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というわけで。
｢ほんまに毎日はやめてな｣
｢んーじゃあ週休二日ということで｣
｢いやそういうことじゃない｣
やっと数学のワークが3分の1まできた。
大倉家通い生活1日目にしては上出来なのでは。
うきうきで丸つけも束の間、どんどん赤ペンの回る速度が下がっていく。
｢な、なんか…全然合ってない…！｣
｢え？＿＿＿いやこれお前平方完成のやり方間違ってるやん！ にとり半分の２乗邪魔者は消せ！｣
｢えっえっニトリ…！？｣
お値段以上じゃない！と鋭く指摘してくる大倉は、もう数学のワークを終わらせてるっていうから敵わない。
彼はその容量のよさで、わたしの専属教師と並行して古典の読解をしている。
ニトリの呪文なんて知らねぇよ。
平方完成とDのかいじょうだかなんだか昔の話すぎて全然記憶が蘇らない。
｢あー無理数学飽きた無理無理｣
｢……どうなん、クラス｣
｢え？｣
｢前よりはよくなった？｣
大倉の目線は暗号のような古文から一切離れず、わたしから答えを待ってる時間ですら手は動いていた。
｢慣れたけど、なんか…なんだろうね、自分でもこれが慣れたっていうことなのかよくわかんないのさ。だってクラスにいるときはずっと虚しいもん。あの二人が爆笑してるところは未だに直視できないし。未練タラタラ笑｣
女って一度に二つのことを出来るんじゃなかったっけ？
なんでだ。なんで大倉は話しながら宿題ができてわたしの口と手は同時に動かないんだ。
あまりにも直球で傷口をえぐられたから、そういうどうでもいいところにイライラの矛先を向けるしかない。
｢あと2ヶ月やん｣
意地でワークを見続けていたせいで、大倉のことなんて全然見てなかった。
ましてや、大倉の大きな手のひらがわたしの頭を撫でようとしてたなんて気づくはずもない。
突然の頭の感触にびっくりして、その大きな手が優しくて、無意味に動いていた手が止まる。
たぶんこれは、わたしが求めている手じゃないはずなのに、頭がぼーっとするほど心地よくなってしまって頭がおかしくなったんだと思う。
｢大倉ってさ、好きな人いんの？｣
つるりと滑り出た言葉は大倉の手の動きを止めた。
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吉田マーメイド(プロフ) - ガトーショコラさん» 嬉しいです、ありがとうございます！ 更新頑張ります！！ (2018年2月24日 21時) (
レス) id: 9ba4e3874c (このIDを非表示/違反報告)
ガトーショコラ - 応援してます！がんばってください！ (2018年2月21日 7時) (レス) id: f84bf72a85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田マーメイド | 作成日時：2018年1月31日 21時
