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｢今日俺部活だから、化学の宿題でもやって待ってて｣
え、え、
｢お、大倉｣
｢怒ってないの？ って？｣
大げさなくらい頭を降って頷く。
ふっと大倉の頬が緩んだ。
｢いや、ぼっち下校は可哀想かなって｣
｢……大倉ぁあ｣
よかった。渋谷先生の言う通りだ。
大倉はわたしのことを見捨てたりしなかった。
｢ただし、あの事は俺ほんまに知らんで。俺は止めた。今後なんかあったとしても、俺は助けないし慰めたりせえへんから｣
｢それはわかってる。大丈夫。｣
正直、放っといてくれるのはありがたい。
ヒラヒラと手を振る弓道部エースに手を振り返して、誰もいない教室の明かりをつける。
『渋谷先生聞いて』
『大倉普通だった』
『避けたりされなかった』
"一緒に帰れる"とは言わない。
それはもう昨日学んだことで、それをわざわざLINEで言うほどあざとくもなれない。
『一緒に帰るの？』
と思ったら直球で来るんだもんどうしろと。
『帰ると思います』
"思います"なんてちょっとしたクッションを置いてみる。
『じゃあ、大倉の部活待ち？』
『そうですね〜』
渋谷先生の返信が途切れて、既読だけがポコンと現れる。
さあ今のうちに化学終わらせよう。
｢信ちゃーん、すばたーん、ばいばーい｣
｢おう！ 気ィつけて帰るんやで！｣
｢ばいば〜い｣
ワークを開きかけた手が止まる。
バラバラな足並みがどんどんこっちに近づいてきて、
｢あれっAやんか｣
｢あれっちゃんと勉強してるやん｣
でったぁ松原。
この2人が仲がいいのはもちろん、毎年学祭で｢松原かずひろ.｣って名前のコンビを組んで漫才をやってくれる。
そのコンビ名からとって、2人が一緒にいるときの呼び名が『松原』っていうのはうちの学校の常識。
｢筆進んでんのか｣
｢うるさい信ちゃん｣
｢え、村上のこと信ちゃんって呼んでんの？｣
｢いや、あっちが名前で呼んでくるから…｣
2人で寄り添いながらわたしの席まで来ると、渋谷先生は前の席、信ちゃんは隣の席に座ってニヤニヤ笑いあってる。
｢おきにの証や｣
｢こいつのおきになんかならんでええて…｣
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吉田マーメイド(プロフ) - ガトーショコラさん» 嬉しいです、ありがとうございます！ 更新頑張ります！！ (2018年2月24日 21時) (
レス) id: 9ba4e3874c (このIDを非表示/違反報告)
ガトーショコラ - 応援してます！がんばってください！ (2018年2月21日 7時) (レス) id: f84bf72a85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田マーメイド | 作成日時：2018年1月31日 21時
