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あんなにきつかった腕の拘束が急に解けちゃって、ふらついたわたしを大倉が慌てて支えた。
わたしはこのとき初めて渋谷先生を見た。
道路脇に止めた車の前に、嘲笑する渋谷先生。
見たことのない顔をする渋谷先生が、少し不気味に見えた。
｢＿＿っお｣
｢大倉待って！！｣
楽しそうに騒ぐJK達が、私たちの目の前を横切る。
｢あれぇー？ すばたんじゃん！ ばいばーい｣
大げさに手を振るJKに、渋谷先生は｢はいはい、さよなら｣と慣れたようにあしらう。
｢ねえ待って、今の大倉くんじゃない？｣
｢だよね！ 道端で何してんだろ、しかも女いたし｣
｢渋谷先生となんかあったのかなー｣
彼らがこの学校の有名人であることは、1番忘れちゃいけない。
丸聞こえの会話に、大倉はぎゅっと唇を噛んだ。
｢渋谷先生、もうひとつ聞きたいことがあるんですけどいいですか。3人で。｣
押し殺すような声で、大倉が渋谷先生をまっすぐ見つめる。
渋谷先生は、何も言わずただ見つめ返すだけ。
｢これで最後にします。もう何も言いません。｣
渋谷先生は大倉から目をそらすと、首を動かして周りを見始めた。
｢…車でええ？｣
｢もちろんです｣
大倉が何を話そうとしてるかなんてわからない。
でも、彼が真剣な顔をするのは、弓を引いてる時か大事なことを言う時だけだということを知っている。
｢Aも。ええ？｣
｢うん。大丈夫。｣
｢泣かせてごめん｣
｢それは怒ってる｣
｢ごめん…笑｣
渋谷先生の車は、見た目よりも少し狭かった。
｢駐車場あるとこ行くわ｣
車が揺れて、大倉の肩がぶつかる。少し気にした。
今更、大倉がわたしを抱きしめた理由を考えてみた。
どうしても信ちゃんが言った『大倉 佐藤A好き説』がよぎってだめだった。
｢はい。ここでええやろ。｣
学校の最寄り駅よりもっと奥の方にあるコンビニに車を停めて、渋谷先生は体ごと私たちに向かう。
｢渋谷先生って、中学の先生との関わりはありますか？｣
｢ある。合同でスポーツ会みたいなのやるから。｣
｢僕達 、南中出身なんです。そこの国語の早坂先生ってご存じですか｣
｢あー知ってるよ。仲いい。｣
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吉田マーメイド(プロフ) - ガトーショコラさん» 嬉しいです、ありがとうございます！ 更新頑張ります！！ (2018年2月24日 21時) (
レス) id: 9ba4e3874c (このIDを非表示/違反報告)
ガトーショコラ - 応援してます！がんばってください！ (2018年2月21日 7時) (レス) id: f84bf72a85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田マーメイド | 作成日時：2018年1月31日 21時
