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彼女が失踪してから10年という月日が流れた。
梅雨の雨がひどく降り頻る日。
紫陽花が沢山咲く通り道に、二人の影が見えた。
傘をさして紫陽花に顔を近づけている大人の女性一人と雨がっぱをきて長靴を履く男の子一人。
親子だろうか。普通なら微笑ましい光景だが、今は違った。
感じられる呪力が彼女のモノだったから。
「 …A、久しいね。 」
「 !え、 」
拍子抜けした声と、大人びた顔立ちになった彼女の面が此方を向く。
その様子を見た子供は僕の方を見上げ、Aの裾を引っ張った。
「 おかあさん、だあれ? 」
雨がっぱのフードを被せられAの後ろに隠される子供。驚いた顔の彼女は僕に警戒心も一瞬向けた。
「 悟。 」
「 あ、もしかして本当にAだった?やっぱり僕、勘が冴えてるね〜。 」
そう言って、10年ぶりに見たAに触れたい気持ちを抑えて言葉を繋いだ。
「 子供もできたんだ?呪術師やめて母親になるとは思っても見なかったよ。 」
「 …急にいなくなったこと、怒ってるの? 」
怯える色が見え隠れする瞳が今は僕だけに向けられていると思うとゾクゾクした。
後ろの子供は、なんとか僕の顔を見ようと背伸びをして顔を出していた。
「 …!誰との子供か、きいてもいいかな? 」
子供の顔を見て笑顔を保っていられなくなった。
彼女には見えていないだろうけど、眉間に少し皺がよった。
黙り込んで、俯きがちなAにそっと手を伸ばす。
「 もしかして、傑との子だとか言わないよね? 」
恐らく10歳前後の子供は嫌なほどに親友そっくりだった。
「 今からでも、遅くないよ。 」
「 え、なにいって、っあッ 」
ひ弱になった彼女の傘を奪い取って腕を押して横に倒してやれば、抵抗なく倒れ込んだ。
ピシャリと地面と水と彼女が叩きつけられる音が聞こえた。
「 ねえ!なにしてるのっ! 」
必死に叫び声を上げる彼女の声なども聞こえていなかった僕は正気じゃなかった。
子供の首を締め上げ、上に持ち上げる。
「
大丈夫。痛くしないよ、すぐに孕めるように二人で頑張ろうよ。ね? 」
僕との行為には愛しかないよ。
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麦芽糖(プロフ) - 音朱(おとあ)さん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださる読者様がいて嬉しい限りです!今後もお楽しみください! (2021年2月13日 16時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
音朱(おとあ)(プロフ) - 初コメ失礼します…!狗巻君の梅を読んで「そういうこと!?天才か!?」と思い以前お気に入りしましたが、梅と同じくらいドストライクの物がどんどん更新されて凄く嬉しいし、いつも楽しみに見てます!これからも更新頑張ってください&よろしくお願いします…! (2021年2月13日 14時) (レス) id: b1bca41b54 (このIDを非表示/違反報告)
麦芽糖(プロフ) - おみさん» ありがとうございます!以前書いていて消してしまったのですが、私の中であの場面が一応最終話の予定でした汗 また機会があれば一作品にして残そうと思います!貴重なご意見ありがとうございます。 (2021年2月13日 10時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
おみ - 孕み愛の、長編を読んでみたいです!! (2021年2月13日 0時) (レス) id: 1d8ea5bb37 (このIDを非表示/違反報告)
麦芽糖(プロフ) - マリイさん» 頂いたリクエスト、私の文章力ではマリイ様のご期待通りにできる自信はありません。申し訳ありませんが、お受けすることはできません。申し訳ありません! (2021年2月12日 22時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦芽糖 x他1人 | 作成日時:2021年2月10日 13時