スノードーム【両面宿儺】 ページ18
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「 起きろ、小娘。 」
冷たい水のようなものが顔の半分に浸かっている感覚と人の声で目が覚める。
ぼやりとする視界を何度かの瞬きでハッキリさせる。だが幻覚でも見えているのだろうか、見上げてみれば高いところに男がいる。
そして、見覚えのない赤の空間。
「 …どこ、ここ。 」
体を起こして、なぜかズキズキと痛む頭を押さえる。
「 頭が痛むか?撫でてやろうか?ケヒッ。 」
「 …大丈夫、デス。 」
不気味な笑い声をあげる男は骨のタワーから降りてきて、水の中に半身を上げて座り込む私の前にしゃがみ込んだ。
真っ赤な目が四つ、顔には黒く線が入っている。
尖った真っ黒の爪が生える手は私の顎を掴んだ。
力を込められれば、顎の骨など容易く割ってしまいそうなほどゴツゴツしたものだった。
爪が食い込んで痛いなんて言えない。
「 遠慮するでない。どちらを撫でてやろうか。 」
そう言って、もう一方の手を頭と胸交互に触る。くすぐったくて、声が出そうになるが眉間に皺を寄せ唇を噛み堪える。
男性にこんなことをされるなんて初めて。ましてや知らない人にされるなんて辱めを受けているようなもの。
「 あの、どっちでもいいんですけど、貴方はどちら様ですか? 」
ガッ
「 小娘、その質問は
ぼたぼたと顎を伝って血が垂れるのがわかった。
男の親指の爪が私の頬を引っ掻いた。
顎を引き寄せられ、血と傷口を舐められる。
「 学習しない餓鬼は好かん。出直せ、と言いたいところだが。 」
恐ろしい悪魔のような笑みで獣を捕らえたような眼を私に向ける。
情報の整理が追いつかない。二度目?なんのことだ。
「 ケヒッ、既にお前は、死 んで俺に取り込まれているのだった。
いかんいかん、もうここから出られぬ哀れな小娘だった。 」
「 なんの、こと? 」
ぴきりと男の眉間が動いた。
「 …記憶がないのか、小娘、いやA。その小さな脳みそを絞って思い出せ。 」
「 その、思い出せなくて。 」
「 そうか、そうか。ならいい。
また一から叩き込んでやろう。ここは俺とAしかおらん。楽しもう。 」
愛でてやろう、A。
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麦芽糖(プロフ) - 音朱(おとあ)さん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださる読者様がいて嬉しい限りです!今後もお楽しみください! (2021年2月13日 16時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
音朱(おとあ)(プロフ) - 初コメ失礼します…!狗巻君の梅を読んで「そういうこと!?天才か!?」と思い以前お気に入りしましたが、梅と同じくらいドストライクの物がどんどん更新されて凄く嬉しいし、いつも楽しみに見てます!これからも更新頑張ってください&よろしくお願いします…! (2021年2月13日 14時) (レス) id: b1bca41b54 (このIDを非表示/違反報告)
麦芽糖(プロフ) - おみさん» ありがとうございます!以前書いていて消してしまったのですが、私の中であの場面が一応最終話の予定でした汗 また機会があれば一作品にして残そうと思います!貴重なご意見ありがとうございます。 (2021年2月13日 10時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
おみ - 孕み愛の、長編を読んでみたいです!! (2021年2月13日 0時) (レス) id: 1d8ea5bb37 (このIDを非表示/違反報告)
麦芽糖(プロフ) - マリイさん» 頂いたリクエスト、私の文章力ではマリイ様のご期待通りにできる自信はありません。申し訳ありませんが、お受けすることはできません。申し訳ありません! (2021年2月12日 22時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦芽糖 x他1人 | 作成日時:2021年2月10日 13時