イイ人【真人】 ページ11
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人手の少なくなった夜の公園を散歩していた。
ただただ、玩具を探していただけだったがあるモノを見つけて気が変わった。
無機質な金属音を立てて、前後に揺れているブランコに乗る少女は俺の目のなかいっぱいに映り込んだ。
「 ねぇ、君。お菓子でも食べない? 」
小さな子供はお菓子で釣れる。騙されていると知らず喜んで俺の方へ来ると想定していた。何より今までがそうだったから。
なのに。
「 …お母さんに、殴られちゃう。 」
ボソリとこちらを見ずにつぶやいた幼女。
顔しか見ていなかったが、揺れるスカートから見える足は健康的ではなさそうだった。
傷だらけ、痣だらけ。人の魂の形を変え苦痛に歪む姿を見てきた俺がいうことではないが、彼女の小さな足は痛々しいモノだ。
「 お母さん?何かされてるの? 」
好奇心で質問をした。
隣のブランコに座って、足で揺れてみる。
「 …今日もね、知らないおじさんと何も着ないで体をくっつけててね。
食べ物ちょうだいってお願いしたらたたかれちゃった。 」
いたかったなあ、と自身の頬を撫でて空を見ていた。
「 …そっかあ。お母さんは怖い人なんだね。 」
「 でもねお母さんイイ人だよ。私のことはダイスキって言ってたから。 」
人間の正の感情。
好意、というモノ。親が子に向ける愛情でもあるが、それにしては口と体が一致していない。
ダイスキなら手を上げないと思っていたが違うのか?
だが、そんなのどうでも良くなった。
俺が可愛がってあげよう。
「 …そっか。俺は真人、君のことがダイスキだからイイ人だよ。君の名前は? 」
「 A。まひとにはお母さんいないの? 」
「 いないよ。でも寂しくないよ、俺はイイ人だからね。 」
「 ふーん。 」
子供らしい素っ気ない態度は嫌いじゃなかった。
ブランコから降りて横にいる俺の方へと体を向けたA。
背丈は小さく、ブランコに座っている俺と変わらないくらいだった。
「 まひとはイイ人なんだよね? 」
「 そうだよ、Aのことがダイスキさ、なんでもしてあげるよ。 」
「 じゃあ、わたしのお願い、きいてくれる? 」
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麦芽糖(プロフ) - 音朱(おとあ)さん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださる読者様がいて嬉しい限りです!今後もお楽しみください! (2021年2月13日 16時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
音朱(おとあ)(プロフ) - 初コメ失礼します…!狗巻君の梅を読んで「そういうこと!?天才か!?」と思い以前お気に入りしましたが、梅と同じくらいドストライクの物がどんどん更新されて凄く嬉しいし、いつも楽しみに見てます!これからも更新頑張ってください&よろしくお願いします…! (2021年2月13日 14時) (レス) id: b1bca41b54 (このIDを非表示/違反報告)
麦芽糖(プロフ) - おみさん» ありがとうございます!以前書いていて消してしまったのですが、私の中であの場面が一応最終話の予定でした汗 また機会があれば一作品にして残そうと思います!貴重なご意見ありがとうございます。 (2021年2月13日 10時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
おみ - 孕み愛の、長編を読んでみたいです!! (2021年2月13日 0時) (レス) id: 1d8ea5bb37 (このIDを非表示/違反報告)
麦芽糖(プロフ) - マリイさん» 頂いたリクエスト、私の文章力ではマリイ様のご期待通りにできる自信はありません。申し訳ありませんが、お受けすることはできません。申し訳ありません! (2021年2月12日 22時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦芽糖 x他1人 | 作成日時:2021年2月10日 13時