あなた、つめたい。【伏黒恵】 ページ11
.
「 どうぞ、何もないけど。 」
「 …お邪魔します。 」
付き合って半年に突入した私と恵くん。今日はオフらしくわざわざ時間を作ってくれて会ってくれた。
急なこともあってか、どこに行く予定もなくお家デートに。
小さなアパートに引っ越したばかりで、人を招いたのは彼が初めてだった。
「 …誰か、入れたことあるのか? 」
「 ううん。恵くんが1人目だよ。 」
「 そうか。 」
シンプルな私服ではあるもののやはり様になる格好の恵くんをチラチラと見てしまう。
冷蔵庫からお茶を取ってこようと移動するも、キョロキョロしている恵くんが可愛くて仕方がなかった。
「 あ、座ってていいよ。今お茶持っていくね。 」
美味しいお菓子でも買ってくればよかったなと、空の冷蔵庫を見て後悔した。
「 恵くん、お腹空いてる?あの、何にもなくても…。 」
「 俺は大丈夫だ。何か買ってきたらよかったな。 」
お互い気を使うばかりだが、空回りが多い私達。それでもお互いを必要としているかの関係がたまらなく愛おしく、彼がどうしようもなく好きだった。
「 あはは、本当だね。はい、お茶どうぞ。 」
「 ありがとう。 」
恵くんが座っている机の目の前にコップを置いてあげるが、彼はまだ部屋の中が気になるのか色々と視線を彷徨かせている。
引っ越したばかりなのもあるがあまり華美でなく質素。
女の子らしさのかけらもない。
「 …収納はないんだな。 」
「 え、ああ。実はクローゼットルーム付きなんだ。オシャレじゃないのにそう言う物件借りちゃって…。 」
痛いところをつかれ、苦笑するしかなかった。
だが、恵くんはそれよりも質問に合わないような表情をしていた。
「 何でそんなに笑って… 」
「 そういえば、何もないって言ってたよな。 」
「 …それ、冷蔵庫の話だよな。 」
「 …? 」
刹那
首を思い切り掴まれる。
バランスを崩し、床に頭をぶつけてしまうと危険を感じて咄嗟に腕を伸ばす。が、コップを掴んでしまい、自身がお茶まみれになってしまっただけだった。
「 …濡れてても可愛いな。水も滴るなんとかってやつか。 」
「 ッぐ、ぐるしっい、 」
「 Aと会った時からずっと思ってたんだよな。
詰めたいってな。出てこられないように詰めて、ずっと保管しておきたいなってな。 」
その顔は狂気だった。
.
228人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麦芽糖(プロフ) - 舞香さん» ありがとうございます!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2021年2月17日 9時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
舞香(プロフ) - め、めちゃくちゃ好きです……!こういうのを求めてました…!これからも頑張ってください、応援してます!! (2021年2月16日 21時) (レス) id: 26fd9ad117 (このIDを非表示/違反報告)
麦芽糖(プロフ) - yuunaさん» リクエストありがとうございます。また書けそうでしたら書きますので、しばらくはリクエスト停止させていただきます。いつも読んでくださりありがとうございます(^^) (2021年2月16日 19時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - とても面白かったです!またリクエスト失礼します!高専五条がメンヘラで一般人夢主が文ストの太宰治みたいな性格で浮気性なのが見てみたいです!! (2021年2月16日 19時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - ナナミンがメンヘラ見たいです (2021年2月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:麦芽糖 x他1人 | 作成日時:2021年2月15日 7時