#297 ページ48
人通りもない、だだっ広い会社の外で。ポツリ待っている私は突如響き渡ったクラクションにビクッとした。
「…(人1)、お待たせ。乗って」
すぐ真横につけられた車は、まさしくキムテヒョンの愛車。
そして窓から顔を出したテヒョンはイカついサングラスに似つかわしくない笑顔で。助手席をポンポンと叩いた。
『……いいの？』
「ん。お前専用だろ？早く乗りな」
『うん！』
彼の大好きな音楽。自慢げに歌うその姿が本当に好き。チラチラっと私の視線に気付いて照れる、その表情も、運転しながら手探りに私の手を探して繋ぐ。その仕草も。
私の知る彼で居てくれて本当によかった。
『どこに行くの？』
「んー、俺の家。」
『……、』
「タニが来てるから。(人1)、会いたがってたよね」
驚く事もない、私が彼の愛犬に会いたいと言っていたのは事実。
ただ彼の家ということ。ここまで誘導されればすることは一つ。緊張が増していくかのように口数が減って。
ギュッと手に込められた力を。そっと握り返した。
…
『……ターニ、タニ！……ふふ可愛い』
「タニ、おすわり！…はーい、いい子いい子」
大きな家に独りぼっち。その寂しさを拭ってあげたい。彼の家に入った途端、小さな天使は私達をお出迎えしてくれた。
初対面な私に警戒する素振りもなく、主よりも先に私の足元へやってきたタニは。尻尾をふりながら擦り寄ってきて吠えもしない。
飼い主に似て甘え上手なのか、顔を近づけると。存分にキスが降ってきた。
「……あれ。タニは女性には特に人見知りするんだけどな。」
『……っあはは！タニ、くすぐったいよ』
「あ、こら！(人1)の唇はダメ！」
「ワンワン！」
「ダメなもんはダメ！」
可愛い不毛な言い争いも、犬、人間なのに同等に見えるのはどうしてだろう。
タニは僕の弟だって言っていた意味は、そういうことだったのかな。
私から奪われたタニに堂々とお説教しているテヒョンは置いといて。タニのお陰で緊張感は解れたのはいいが、ふとリビングに転がっていた。赤ちゃん用のおしゃぶりが、＿＿＿＿かつてないほど胸を痛くさせる。
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chay(プロフ) - エリサさん» コメントありがとうございます。パスワードを外しましたよで、是非ご覧なって見てください。ありがとうございます。 (2022年1月21日 14時) (
レス) id: 78cfebea7b (このIDを非表示/違反報告)
エリサ(プロフ) - ものすごい物語に出会ってしまったと深夜にも関わらず、一気に読みました！面白かったです。ぜひ続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2022年1月19日 2時) (レス) id: 3441eb251e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chay | 作成日時：2022年1月4日 8時
