#296 ページ47
「後で俺の事務所の前まできて」
『！？…っ』
色紙を渡すその僅かな隙をついて、私に伝達されたメッセージ。即座に席を立って周りを見渡したが雑音や物音にかき消されて、余計な心配は消えていく。
「(人1)さん、お疲れ様です。家まで送ります」
『あ、ううん！この後、用事があって。タクシーで帰るよ』
「……そうですか。あまり遅くならないように。あ、あと。何かありましたらすぐに連絡して下さい。どんな時間帯でも出れるようにしておきますので」
『うん……ありがとう』
何かを察したような態度、私は過敏に感じ取った。
マネージャーは薄々感じていたのかもしれない。テヒョンと再会した時の私の動揺、そして居なくなった後の私のメイクの崩れを真っ先に気付いていたから。
だから遠回しにパパラッチに遭遇した場合、ファンやトラブルに巻き込まれた場合を不安視して、あんなお節介を焼いてくれるんだろう。その配慮にできる限り答えることのないよう。
『……はい、裏口で。運転手さんお願いします』
彼に会いに行く。でも何故、分かっていて止めなかったんだろうか。まさか、こうなることを読んでいた？私をわざと彼の席の近くに座らせたのも、
テヒョンだけじゃない、私の周りも何かが変化してる気がした。
タクシーの中であえて口紅はオフ。テヒョンはあまり口紅が得意ではない。仕事以外では付けないでとまで言われていた事も覚えているから。
彼が求めているなら＿＿＿＿進んで応じる。むしろ私の方が彼を欲しているみたいだ。
キスした瞬間、中途半端な関係でもいいとさえ思ったほど。
早く会いたい。＿＿＿
少し飲んだアルコールがほどよく回って。夜道、彼を待つ間も。無意識に鼻歌なんて口ずさんでいた。
それほど、彼を待つその心境の懐かしさに浮かれている。
出会ってまもなくして好きだって感情が芽生えて。時にすれ違いながら一緒に歩んでいく決意をした後、
気持ちと気持ちが繋がったまま引き離されて。もう戻れない運命に打ち勝った私達。
まだ胸がドキドキしてる。出会ったあの頃のように。＿＿＿＿
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chay(プロフ) - エリサさん» コメントありがとうございます。パスワードを外しましたよで、是非ご覧なって見てください。ありがとうございます。 (2022年1月21日 14時) (
レス) id: 78cfebea7b (このIDを非表示/違反報告)
エリサ(プロフ) - ものすごい物語に出会ってしまったと深夜にも関わらず、一気に読みました！面白かったです。ぜひ続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2022年1月19日 2時) (レス) id: 3441eb251e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chay | 作成日時：2022年1月4日 8時
