#292 ページ43
「……(人1)は俺に会いたかった？」
『…』
「大丈夫、誰も聞いてない。教えて？」
『………会いたかった』
「素直だね、＿＿いい子だ」
どうして、心の迷いが出てこないんだろう。以前の私なら罪の意識に負けて。隠れて二人で会うことすら恐怖を植え付けられていたのに、
私は強欲なのかな、＿＿＿＿少しだけならって許しを乞いながら彼の手を私の指に絡ませた。
普段お嫁さんにはどんな顔を見せていて。どんな態度で愛を伝えてるのか分からない。でも私しか知らない彼の顔だってある。
忘れられない、彼の事いっぱい知ってる。
たかが愛されただけで、彼の事何でも知ったつもりでいるけど。彼の未来まで奪えなかったのが、縁の尽きだった。
結局私は嫉妬するしかできない、これからも。ずっ、＿＿＿＿
「(人1)、……、俺達、また一緒になろう」
『……はい？』
何を言ってるの？＿＿＿＿彼も私同様、頭が可笑しくなってる。冗談でも言っていいことと悪い事があるって呆れるほど言ってきたのに。
この場に及んで、どういうつもり？テヒョンのこと本当に愛してた私を馬鹿にしてるの？
笑ってあげたいけれど、ごめんね。私は貴方と別れてからもずっと強くない。
自分の気持ちを抑えて、犠牲にして今日まで歩んできた。忘れようと色んな人を振り回して、やっとここまでの情緒を保てるようになった私の努力を。涙を呑んだあの苦労を。
＿＿＿＿彼は一瞬にして無意味にしたんだ。私を壊すかのように。
・
・
・
・
「実はね、俺の子供じゃなかったんだ」
『……？！』
「ちゃんとした書類もある。……待たせてごめんね」
『……っ』
混乱する頭。震える体。息が出来ないほど幾度も涙が流れて止まらない。思わず全身の力が抜けて、テヒョンに体を支えてもらいながら大粒の涙を彼の服に濡らしてしまった。
どんな奇跡が起きようと何十年何百年経っても彼の傍に寄り添えない、私はそう信じて疑わなかったから。
今日という日が来るなんて。何度言っても足りないぐらいの『ありがとう』を彼に伝えたい。
『大好き』が止まらないのに、嗚咽で言葉にできない私を。そっとテヒョンは抱きしめてくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 222人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
chay(プロフ) - エリサさん» コメントありがとうございます。パスワードを外しましたよで、是非ご覧なって見てください。ありがとうございます。 (2022年1月21日 14時) (
レス) id: 78cfebea7b (このIDを非表示/違反報告)
エリサ(プロフ) - ものすごい物語に出会ってしまったと深夜にも関わらず、一気に読みました！面白かったです。ぜひ続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2022年1月19日 2時) (レス) id: 3441eb251e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：chay | 作成日時：2022年1月4日 8時
