#288 ページ39
「……あのさ、俺に喧嘩売ってる？」
『なんのこと？』
「カメラ外でも仲良くするのは違うんじゃない？それにリップぐらい、俺に直接返してよ。」
『…せめてもの許容範囲のコミュニケーションだよ。リップは、タイミングがなくて』
「嘘だね。どうして俺を避けてるの？俺だって共演者だ、会話の一つくらいあってもいいんじゃない？」
確かに。＿＿＿＿それはご最もだ。彼だけ贔屓するかのような態度を見せるのは間違ってる。でも、私にだってそうできない理由があった。
『私もグゥと何の気なしに話したい。でも貴方を見てるとそうはできない。さっきだって、共演者に何をした？自分の勝手な想像で暴走してしまうグゥに、普段通りは無理だよ』
突き放してるような言い方になってしまったけれど私は言葉を選んで伝えたつもりである。
私を好きで居てくれてるのは分かる、ただそれを仕事にまで持ち出してくるのは違う。はっきり言ってしまえば私に何も求めないでほしいんだ。
「…俺の気持ちは(人1)に届かないんだね、」
『仕事は仕事だから。＿＿私と付き合うってことは、それ相応の犠牲も覚悟しないといけないんだよ』
テヒョンもそうだった。私の仕事に耐えられなくて。幾度も口論しては悲しめ苦しめて。私の見えない所で葛藤していたんだ。
自分の精神を犠牲にするか。別れて楽になるか。＿＿＿＿
私が折れることのない限り、ずっとループする。同業者との恋愛関係はそう。合う合わないか、どちらだけ。
「……それって覚悟があったら彼氏にしてくれるってこと？」
『…っえあ、いや、』
「(人1)の言いたい事分かるよ。だから俺少しでも(人1)に相応しい男になる為に鍛錬する。呆れないでちゃんと見てて」
濁りの無い瞳が私を一直線に照らし続けて。そうじゃないという言葉さえ、かき消していく。
「唇、切れるほど激しいキスしてたの？」
『ううん！…見てたら分かるでしょ？普通の「見れなかった。……見たくないよ。」
そして悲しい顔を見せないように笑った彼は私の顎をぐいっと上げて優しくリップを塗ってくれた。
その瞳が、何故か忘れられない。
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chay(プロフ) - エリサさん» コメントありがとうございます。パスワードを外しましたよで、是非ご覧なって見てください。ありがとうございます。 (2022年1月21日 14時) (
レス) id: 78cfebea7b (このIDを非表示/違反報告)
エリサ(プロフ) - ものすごい物語に出会ってしまったと深夜にも関わらず、一気に読みました！面白かったです。ぜひ続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2022年1月19日 2時) (レス) id: 3441eb251e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chay | 作成日時：2022年1月4日 8時
