#287 ページ38
｢(人1)、どうよ。前さ俺の髪見て暑苦しいって言ったの覚えてる？」
『…あ、本当だ、絶対そっちの方がいいですよ。』
「よかった。少なくとも俺の恋人役なんだから。(人1)の好みでいないとね」
『役の私は、好きじゃないかもしれないですよ』
「なんだよ、お前言うようになったな笑」
彼は序盤に活躍する私の片思いの相手役。後に恋人となるのだがオフレコでもこれぐらい自然にいられると精神的にも楽だな。
だが、やはり避けるべき存在がいるから必然的に意識して、彼と話していた部分はあった。同じシーンもカットも多かったし、休憩の時間も被ってた偶然も重なって。
そこに好意はなくても仲良くなれるまで時間は掛からない。
そうすることでジョングクと私、両会社が平和になれる、これが正しいと思っていた私はキスシーンも快く引き受けた。
「(人1)、歯磨いたか？」
『ー磨きました！』
キスシーン前にして緊張感も何も無い。ただ、スイッチの切り替えはプロ。カメラが回ると甘い彼氏へと変貌する。
「カット！！」
長いキスシーンは、ただ触れるだけのキス。それだけでも彼の人柄が現れているように思った。終わった後も勉強になる、ほどよい距離感を作ってくれて。
｢あ、(人1)唇切れてる。」
『え？どこ？』
「ほら、ここ＿＿＿＿っ！」
でも彼の指が私の唇に触れる寸前。その手を払い除け黒い笑みを浮かべるジョングクが現れたのだ。
「(人1)さん、…次のシーンで少し相談があるんですけど」
『……はい。』
いい人なだけに何も言わずにいてくれたけれど。彼は何かを察したように。その場から居なくなった。
そして肝心のジョングクは怒りの込められた瞳で。自分のリップを私に渡しただけだった。
彼の行動には随時ヒヤヒヤしてばかり。あんな雰囲気、私達の関係を探られるのも時間の問題だ。
多分彼だってマネージャーや社員に口煩く言われてると思うのに、あの顔は多分聞く耳を持ってない。
だからジョングクのマネージャーを通してリップを返した私の気持ちなんて＿＿＿＿勿論伝わる事はなかった。撮影終わり色んな目をかいくぐり私の元へやってきたジョングク。
腕を引かれて人気のない場所へ連れていかれた。
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chay(プロフ) - エリサさん» コメントありがとうございます。パスワードを外しましたよで、是非ご覧なって見てください。ありがとうございます。 (2022年1月21日 14時) (
レス) id: 78cfebea7b (このIDを非表示/違反報告)
エリサ(プロフ) - ものすごい物語に出会ってしまったと深夜にも関わらず、一気に読みました！面白かったです。ぜひ続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2022年1月19日 2時) (レス) id: 3441eb251e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chay | 作成日時：2022年1月4日 8時
