Pseudo romance#2

#55 ページ6

「…最近、表情が明るくなりましたね」



『え？、そうですか』



「…恋ですか？」



『！？、いやいやいやいや』





担当のメイクさんからも、揃いも揃って口にされる。周囲に気づかれてしまうほど私は変わってしまったようだ。



だけど、この恋は決して口にしてはいけない。彼は何億人と居るファンに支えられているアイドルであり恋愛なんてする暇もないし、ましてやプロ意識も高い。私のような冴えない役者が冗談でも恋愛ごっこしてはいけないんだ。



身の丈にあった人を選ぶこと、彼も彼のファンもそれを望んでるから。


＿＿＿＿ただ想うだけ。それでも立派な恋だと呼んでもいいよね。






ピアスも、ずっとつけてないまま。お守り代わりに持ち歩いてはいるけど、物寂しい耳元を触る癖ができて。




ドラマ撮影に集中してる今は、はぐらかすことが出来るけれど。集中できないほど彼を思い出しては恋心を巡らせていく。











『…好き、好き。あーっ！もー！』





「？、…あー、台本の読み合わせね。」





『ねぇマネージャーは好きな人いるの？』





「、…まぁね。」




『え！？、えー？！！いつの間に、』





「何をそんな驚いてるの？恋をするって自然なことでしょ。(人1)も恋をした方がいいわよ、演技にも生きてくるしね。」




『…好きって伝えたいと思う？』




「………そうね。気持ちが固まったら、いつか伝えたいとは思うけど。今はまだ、彼の特別にはなれないからね。」





『そっか「ただ、後悔だけはしないようにっていつでも自分に言い聞かせてる」









携帯の新着メッセージが二件。




【風邪引くなよ】


の一言と、思わず笑ってしまった。可愛い犬と戯れているテヒョンさんの写真。



最後に会った時よりも、僅かに伸びた髪が。時の流れの速さを思い知らされる。






いつも私の活力源になってくれてありがとう。






次会える時は、うんと別人の私で会えるように。身も心も成長して驚かせたい。それまで我慢、＿＿




【テヒョンさんも風邪引かないで下さいね。撮影終わったらまた_】



会ってくれますか？

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