#73 ページ24
ワインの飲み方まで教えてくれなかった、マネージャーを恨む。
取り敢えず見様見真似で匂いを嗅いでみた。__きっつい。
「マダム、お味はいかがですか?、」
『…っはい!美味しい、です!』
これは、早く飲めという合図か?分からないけれど。目立った行動はできない。何故か優しい笑顔で見守ってくれてる、目の前の支配人さんに会釈をして。
グラスを持ち上げた時。__何の気配もなく。グラスは手からなくなった。
「……ゴクゴクゴク。」
『……っえ、』
背後から伸びてきた手は、喉を鳴らしながら物凄い勢いで飲み干していく。
唖然とした私は、ただその姿を見つめていたのだが。何も言わず去っていく背中に声はかけられなかった。
「……どうぞ、もう一杯。」
お情けのもう一杯が手に渡る。要らないのに目撃したばかりか渡さずに居られなかったんだろう。
苦笑いしかできず、グラスを手にその場から離れたのだが。次第に湧いてくる、言葉にならない八つ当たりを頭の中で繰り返していた。
何の為に突然現れたの?嫌いなら、構いにこなかったらいいのに。嫌いじゃないなら連絡の一つぐらい返してくれてもいいのに。
何も知らないかのように装って。何を考えてる?いつも私を夢中にだけさせて。居なくなるんだね。
寂しさを紛らわす為じゃないけど、思い切りワインを飲み干した。なんで無駄に格好良いんだろうな。
____沢山の人が居るのに。いつでも彼しか見えない。
・
・
【お酒は程々に!何が入ってる分からないから、ウエイターさんから貰う以外の飲み物は飲んじゃダメよ!】
『……んー、?……マネージャー?』
それから二時間後。
緊張を誤魔化すかのように貰ったお酒は全て愛想笑いで飲み続けた私は。頭がぼーっとするだけじゃない、お酒の味さえも分からなくなってくるほどまで出来上がってしまった。
「Hi!Are you OK?」
『…っ、おっけ、おっけ』
なんだこのイケメンは。突然しゃがみ込んだ私に声をかけてくれたのだが、眼の焦点が合わなくて。
乾杯しようなどと言われたが、『のーせんきゅー』呂律の回らない声で、すぐにその場を離れた。
613人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆんぎそ(プロフ) - 更新ありがとうございますっ!ドキドキが止まりません!! (2021年12月4日 0時) (レス) @page49 id: 0a10b6b6c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんぎそ(プロフ) - わー!続きが気になりますっ!ドキドキ✨✨ (2021年12月2日 1時) (レス) @page27 id: 4741346bef (このIDを非表示/違反報告)
chay(プロフ) - Runaさん» すみません抜けてました!公開します! (2021年12月1日 15時) (レス) id: 78cfebea7b (このIDを非表示/違反報告)
Runa(プロフ) - はじめまして。楽しく読ませてもらってます!60話が抜けていませんか? (2021年12月1日 15時) (レス) @page10 id: 1e0f8b7b7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:chay | 作成日時:2021年11月29日 21時