Pseudo romance (ページ49)

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「(人1)…っ、今の仕事楽しい？」

『ん？…うん、ただ。役者の仕事できてないのが気がかりかな』

「……」

毎日、忙しい日々を送っているのはいいことではある。ある程度知名度も広がってきたし。

だけど、本業は。まだスタート地点にも立ててないのが現状で、やっぱり気にしてた私も。マネージャーも。

「難しいのよね、日本人がドラマや映画に出るのって。」

そう。やはり国柄、韓国人役者を遮って日本人が選抜されることは稀である。あまりにも世界的に有名なら話は別だが。これが私達に立ち塞がる暗黙のルール。

「だけど、(人1)は役者だもんね。…アイドルになんてさせないから」

『？…なにそれどういうこと』

「いいや、なんでもないわ。」

この時のマネージャーの動揺は私に深く印象づけて。確信につく真相を知ったのは、それから間もなくのことだった。

それはとある撮影の休憩時間。

会社用の携帯電話に何ヶ月かぶりに掛かってきた。見慣れた人物からの着信。

「お久しぶり！！元気？！」

『元気です！どうしたんですか、突然』

聞きなれた日本語に安心する。この電話の相手は私と同じ事務所に所属しているタレントのマネージャーであり私のマネージャーとも仲がよく、私とも親交がある人だ。

「あいつも(人1)ちゃんも頑張ってるって聞いてさ。でももうすぐでお別れだし、挨拶しとこうと思って」

『…？はい？！…先輩、事務所辞めるんですか？』

「え？そうじゃなくて、(人1)ちゃん韓国の事務所に移籍するんだろう？あれ、そう聞いたけど」

『？！…その話！詳しく教えて下さい！』

私の知らない事実が、今明らかとなる。マネージャーの疲れた顔、思い詰めた表情の理由を私は受け止めることができるのか、

聞く前から心臓が張り裂けそうなくらい痛かった。