#42 ページ43
「イメージモデルなんて、失礼じゃないかしら」
『…不安になるようなこと言わないでよ』
仕事は何故か順風満帆だった。某ブランドのイメージモデルに抜擢されたらしく、その撮影当日。コンセプトを把握しろと渡されたブランド冊子をペラペラとめくっている。
そこに映っている海外モデルは桁違いにレベルが高い。明らかに私はブランドイメージを下げてしまうんじゃないか、唐突に不安はやってくるが、この日の為に。体のメンテナスは徹底して行っていた。
『…あっ』
「ん?…あー、そうそう。彼もイメージモデルしてるんだって。一緒の撮影になるかもね」
一際目を惹く。堂々した立たずまいに凛々しい表情、私の想像を超える別次元の彼。____キムテヒョン。
彼のページで止まってしまっていた。本当に本人だろうか、魅力が存分に溢れた彼の表情に圧倒されて、心音が煩い。
「……、あれ。(人1)顔赤いね」
『え!?……ちょっ、』
「・・・ほら準備」
冊子を閉じて、急かされるかのようにメイクルームへと向かうが、その最中ふと鼻を掠めた香りに後ろを振り返った。
この香り。____
「(人1)さん!こっちですよ、時間押してるんで」
『あ、はいっ!』
人間は一度嗅いだ匂いを忘れないとは言うけれど、そこまで気にとめず。撮影に向けての準備を進める。でも始まる直前、スタッフさんの話し声にキムテヒョンと聞こえた気がして。
そわそわと周りを見渡してしまった。
ただ、それは私にとってプラスに働いたらしい。緊張感を別の所で取られたおかげでシャッター音やフラッシュを浴びても思いの外平常心でいられた。
見られることに慣れてきた後は魅せることに特化させないと____
出来上がった映像を一通り眺めて、ふとそんなことを思えた私はほんの少し成長したのかも。
『・・・ありがとうございました!』
「…ちょっと待って!こっちのスタジオきて」
『はい、』
ざわざわと騒がしいスタッフの話し声に何事だろうかと思っていた矢先、隣のスタジオへと案内されたのだが、そこには多くの女性スタッフが待ち構えていた。
空気が別格に違う。自然と背筋が伸びていく中、監督と握手を交わして。
「彼はとてもいい才能を持ってるんだよ」
直後周りの人が道を開けては謎の拍手に包まれる。その先で待っていたのは、____
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作者名:chay | 作成日時:2021年11月25日 5時