#41 ページ42
「…付き合ってる人、いるの?」
「ははっ居ないよ。もしかして、なんかネットに書かれてた?」
「…いや、だったらいい」
「…」
探りをかけろとアイツに言われたの?
まぁ勘違いしてもおかしくないか。____共演しただけで噂されるってのは、よくあることだ。しかし(人1)は別界隈でも注目を浴びて、メディアに引っ張りだこ。熱狂的なファンも増えているという。
俺もかなり火種はとんでいるということだ、共演したバラエティー番組での言動に失望しただの、一部の過激なファンに好き放題言われて、俺もやり過ぎたかなとは思っている。
でもせめて彼女には理解をしてほしかった。最初の撮影は俺じゃなくVヒョンだったんだ、と伝えても。自分からこの子がいいって言ったんでしょ?とか。俺は日本人が好きだから、とか。
ここまで信用されてなけば、隠すまでもないと開き直った俺も馬鹿かもしれないが、本当に(人1)とは何も無いからこそ可愛いなと思ったのは事実だと、嘘なく話したのに。
意味もない携帯チェックに、ウェブの検索履歴まで監視される。ファンが勝手に作り上げた俺と(人1)の熱愛記事を、俺の前で読み上げる鬼畜さに嫌気がさした。
彼女の思う身勝手な妄想が現実になれば別れ際、俺はもっと彼女に優しくできたのかもしれないのに。
別れた後も女性の勘は侮れないな。メディアに出る(人1)の首筋に浮かぶ赤い痣を見つけて、あの夜のことを推測してきた。疑ってたから余計に俺がつけたものだと思ったんだろう。
____恐怖に震えながら助けを乞う、あの緊迫した雰囲気で。Vヒョンに咬まれた(人1)の肌は紅く染っていた。
くしくも、それはとても(人1)を綺麗に魅せて。その上に重ねるかのように吸い付いた俺は、あいつじゃない、いつでも俺を思い出せるように優しく何度も触れ続けた。
おかげで、中々消えないものが(人1)の体に刻まれてしまったわけだが。もはや俺の方がその何倍も心に刻まれてしまった。
____出会ってすぐ抱いた感情は、どこまで燃えあがり鎮火するのか。俺にも分からない。
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作者名:chay | 作成日時:2021年11月25日 5時