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彼の唇をなぞりながら、近づいてくる瞳に吸い込まれてもいいなんて。体は自然と彼の体から離れたがらない。
今日、汚れた心も体も彼が浄化してくれるんだ。____
「……んっん。はぁ、……」
熱があるみたいに暑い。唇が焼けそう。思わず息苦しくて離れようとしたけれど、
簡単に捕まって、浴びせられるキスの嵐。
甘い。なんで彼のキスは甘いんだろう。朦朧とする頭の中でそればかり考えていた。
身体をなぞられてベッドに押し倒されても。息を荒くする彼を見上げても。
意識はどこか別の場所に置いてきてしまったかのような。恥ずかしさも情もない、まるで魂の抜けた人形のような気分。
「……ヒョンのこと好き?」
『……どうして?』
「いいや、……っあの人は俺に無いものいっぱいもってるから。」
「好きにならないでね」
怯えた子犬みたい。そっと乱れた髪を撫でると僅かに緩んだ頬。でも残念ながら、彼の望む言葉をかけてあげることはできなかった。
私の首筋に顔を埋めては、「もうちょっと早く来てればよかった」と囁く彼は既に気付いているようだったから、
体にも心にも染み付いた彼の匂いに。涙を浮かべる私を。
そんな悲しそうな顔しないで。誰でも良かった。____今日のこと忘れさせてくれるなら。誰だって同じように感じるの。
ただ少し戸惑ってる。
私を壊さないように恐怖を植え付けないように理性を失ってまで彼が魅せる心遣い。そして、彼の繊細なテクニック。
ビクッと反応しては、体から力が抜けていく。
「……ねぇ、質問の答え教えてよ」
『……っんっ、』
「俺のものになってくれる?」
耳元で甘噛みされながら、私の反応を楽しんでる。ほんの少し強気になった彼。
揺れるシルバーピアス、ほんのり汗ばんだ体。艶やかな唇、余裕のない瞳、
一体どれほどの女を抱いて同じ事を囁いてきた?
うんと頷いた途端、彼は嘲笑うんだろうな。____
『……あ!』
「!?な、なに?!」
『今何時?!』
「……12時ジャスト」
『……帰らなきゃ』
「え?!……ちょ、!急に?!」
『ごめん!またね!!』
「……ええ?!!、ま!」
また俺の思い通りだ、って____さ。
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作者名:chay | 作成日時:2021年11月25日 5時