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「……お風呂入ってくる?あ、その変な意味じゃないよ」
『気にしないで、』
私の全身を見ないようにしてくれてるんだ。本当に彼は困らせたくなるほど優しいんだな。
結構お気に入りの部屋着だったのに、服は私の犠牲になったみたい。伸びて胸元まで、はだけてしまっている。
やっぱり気になるものなのかな。彼の視線は明らかに泳いでいる。話し方もたどたどしいというか。落ち着きがないというか。
「そうだ、お水。…(人1)水欲しがってたよね、 ほら飲みな」
『…いい。それよりもお酒ある?』
「…え、ああ、あるけど。でも大丈夫?」
『頂戴。平気だから…』
何もかも忘れたい。自暴自棄になってしまいたい、それほど私は、突然テンションが切り替わった。
どうしてだろう、とうとうおかしくなったのかも。それもこれも異常すぎる人達と関わりすぎたんだろう。
彼が飲めるの?と出してくれたワインを。初めて一気飲みしたのだが、脳みそがぶわっと熱くなって。涙が引いた、一瞬の恐怖もなくなった。
怖いもの知らずとは、こういうことなのだろうか。その後不気味なくらい私は一人で笑っていた。途中熱くなって脱いだ服を投げ捨てて、
さっき見た光景と同じだ、なんて。彼を見つめる。
____何を見てる?私の体?それとも、私の見えない心の奥?
じっと見ている、その視線の答えを私に教えてよ。
『ねぇ、どうして助けに来てくれたの?』
「……(人1)は強そうに見えて弱いから。絶対泣いてるって思ったんだ、」
わざと彼に近付いて。わざと彼の体に腕を回した。上半身タンクトップ一枚でも熱くて堪らないのは、彼が発してる熱を感じてるからだろうか。
顔を近づけて、彼の胸ぐらを握りしめる。
『……熱いよ。ここ、』
「……一緒に涼しくなろうか。脱がしてもいい?もっと楽になるよ」
否応なしに、彼はそっとタンクトップの紐を下ろして私にこう言った。「怖くないのか?」と。さっきまで散々な目にあったばかり。あいつらと同じことをして、俺を軽蔑しないかと心配しているようだ。
『……違うよ。私が触れたいの。貴方に。』
『きっと幸せな気持ちになれる、この胸の熱さを埋めたい』
すると、目の色が変わった彼。強引に抱きしめられては耳元に響く彼の声に私はどうかしていた。
「……俺のものになってよ」
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作者名:chay | 作成日時:2021年11月25日 5時