Pseudo romance (ページ21)

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#20 ページ21

「…あの」

『はい？』

「…私、ティアラです。分かりますか？初日から、話しかけたかったんだけど話かけられなくて。あの、……仲良くしてください」

カタコトの韓国語と日本語が混じった言語。ナンシーさんとは違った美人だろうか。とても上品な気品が私なんてと後退りさせたが、

ずっと私の目を見てくるこの子がにこっと笑ったその表情に。不思議と心を許していいんだと思ってしまった。

初めてかもしれない、芸能人の。更には私と違う国で育った常識も環境も違う友達、なんて。

しかも私と境遇が少し似ていて、お互い色んな苦労を話せば意気投合した。彼女の母国である台湾に私も行きたいな、と口にすれば、

「可愛い！！(人1)を連れて帰りたい！」と懇願されるわ抱きしめられるわ。私達が連絡先を交換するのは自然なことだった。

ちなみに彼女の相手役はユンギさんという方らしい。無口だけどいい人で、しかもちょっとタイプだって。私はふーんと流したけれど、その流れで。

「…そういえば、(人1)は行ったの？」

『何？』

「昨日の打ち上げ。私誘われたんだけど、怖くて断ったんだよ」

『……あー、行ってない(てか誘われてない)』

「だよね、ナンシーさん達が中心にいるらしいし勇気が出ないよね」

『ただの飲み会じゃないの？』

「…飲み会だとは思うよ、でも。キムテヒョンさんとナンシーさんが、皆の前で＿＿＿＿」

それから先は聞かなかったことにしようと。サラッと受け流せると思いきや私の中の、彼の勝手なイメージとかけ離れすぎていて、

やっぱり私は、どこか彼に期待していたのだろうかと考えさせられた。

良いも悪いも、もっと警戒心を持つこと。それに気づかされただけでもこの仕事を引き受けた報いだろう。

本番前、群がるナンシー軍団をあからさま避けるそんな私を見てティアラは笑いながら「がんばろうね」って。

繋いだ手を恥ずかしながら握りしめた。