Pseudo romance (ページ20)

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#19 ページ20

「いい？気を引き締めるのよ」

『ゴクッ』

生唾をゴクリと飲み込む。朝からずっと緊張しっぱなしの1日が始まった。バラエティーの撮影が2本、雑誌の取材が3本、雑誌撮影3本、

怒涛すぎるスケジュールにため息をつく暇もない。表情筋がカチコチに凍りそう。

好き放題された髪型もメイクも、まるで私じゃないみたいで。あれほど夢見てた多忙な日々に早くも嫌気がさした。

「…日本の美女役者だって。」

『日本では全く知名度ないのにさ、』

「可愛いすぎる笑顔…はははっ！」

『ちょっと！笑いすぎ！！』

メディアがつけたフレーズに大爆笑するマネージャーはほっといて、やっとご飯を食べれる時間だと過密スケジュールの中の幸せを見つけた私だが、

次の瞬間、一気に食欲は失せることとなる。

「今日最後の撮影よ、16時からBTSのバラエティー番組の出演」

『……は！？ま、待ってよ！またBTS？！』

「そうなのよねー、なんか出演したPVがもの凄い反響らしくて。女性キャストとの絡みが見てみたいって声が多かったらしい。スペシャル版だって！優勝者には豪華景品プレゼント」

『……えーいつ帰れるの？』

「さぁ？ほら、今のうちにご飯食べときな」

もう二度と関わらないと誓ったのに。またあの高飛車美女達の皮肉と冷ややかな視線を浴びながらも笑顔を向けないといけない、

これが我慢という名の仕事なんだろうけど。

メディアで注目された分、風当たりが冷たくなる。なんで、あいつらに私はやられっぱなしなんだろう。

ネットで好き放題叩かれるのはいいけど、リアルの悪口はメンタルが破壊することに気づいた。

「(人1)、友達作りなさい」

『え』

「本当に信頼できる友達ができたら、精神的に楽になるわよ」

眠くならないように栄養剤を飲んで。前よりも扱いが少しマシになったスタッフの対応に動揺しつつ。

マネージャーに言われたことをずっと考えていた。

芸能人の友達なんて所詮潰し合いだと言われてきたけど。私に形だけでも友達って＿＿できるかな。