Pseudo romance (ページ18)

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「……まぁまぁ！日本の子のことはいいじゃん、テヒョンはナンシーだろ？あの谷間に埋もれたいって言ってたじゃん」

「は？そんなのいつ言ったよ」

「ついこの前、今日のメンバーで飲んだ時。一緒に恋人役したかったなぁーって言ってた。だから今回キャスト変更になったと思ってたんだけど」

「……覚えてない」

苦手なお酒を煽られ沢山飲んだ記憶はあるが。どうりであの後から彼女の態度が急変したわけか。

会話はなくても、彼女の強い眼力で。夜の闇に堕ちたこと。

あー、あの時の後悔も後ろめたさも思い出してしまった。

年齢も家柄も、見た目も、体格も、俺には申し分ないほど完璧な女性であることは分かっている。しかも何故か俺は気に入られているらしい、いつ両親に会わせてくれるのか？と言われた時は流石に苦笑いしかできなかった。

それほど真剣に俺の事を考えているようにも見えないのに。実は裏で何かを企んでるじゃないかって実は怖かったりする。

「そもそも最初から相手役ナンシーさんだったもんね。」

「え？」

「忘れたの？僕たちのpvの相手役って俺らが決めたわけじゃなくて、最初にディレクターさんなりが決めてたでしょ？」

「…あっ」

それは一ヶ月前に遡る。PV撮影の説明を受けた後、必要不可欠な相手役のプロフィールを簡単に紹介された。その中でスタッフの組み合わせでは現状と同じ、俺とナンシーさん、(人1)とジョングガで。

ただ、その時に。ジンヒョンが意味深に投げかけた。「ジョングガ良いのか？」の一言。それに対してジョングガは苦笑いで。

皆が気にかけている。彼女の国柄のことを察した。

確かにジョングガと彼女を一緒にしたのもわからなくもない。彼女の国でジョングガはトップに人気を誇っているし。年齢も同じ。

だけど理不尽に嫌がられるような子なのか。「ジョングガ、俺が変わるよ」と交代した裏話があった。

結果はどうであれ。俺はこれでよかったと思う。他のメンバーが(人1)の魅力に気づかないですんだし。

何より初めて顔を見た瞬間から。＿＿俺は。

「テヒョン、ほら。あっちでナンシーが待ってるって」

「……」

悪い顔したジミンに渡されたワインとコンドーム。

強く握り締めながら、胸が締め付けられるように痛くなっていった。