Pseudo romance (ページ13)

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#12 ページ13

『初めまして、立花(人1)です』

「あ、初めましてジョングクです」

振り回された同士、なんだか切ない雰囲気を醸し出しながら、かなり抜粋された撮影内容に耳を傾ける私達。

制作陣も。スケジュールに追われているのか。コンセプトだけ間違わなければ、後は適当に雰囲気でーとか言われて。自然に顔を見合わせた。

「どうしましょうか」

『.......前はどうだったんですか？』

「前と一緒にしない方がいいと思います。内容がヒョンと全く真逆なんです。その.......ナンシーさんは国柄的にそのピンクな部分がより出てしまわないよう構成してたって聞きました」

『あ.......なるほど。』

私じゃ色気もないってことね。さり気なく、こいつもこんな大人しい顔してディスってくるんだ。でもまぁ、一理ある。全部真似てしまうと自分のカラーって出ないから。

それを知ってて言ってるのか、遠回しに無理すんなって貶されてるのか。それは彼にしか分からないけれど、

歌詞の意味を彼は真剣に考えていた。

ここは本業であるアイドルの彼に従うのがいい。

「本番行きます！」

「あ、僕が最低な男を演じるので、それに従順な彼女を演じて下さい」

『.......、はい』

絶対、ナンシーさんにはデレデレしてたんだろうな。この衣装を身にまとった瞬間から、それは即座に予想できたけれど。所詮男は、女を見た目で判断してるんだから。

いい女を演じるつもりはない。罪悪感だけ植え付ける、そんな女を、貴方が驚くような女を演じてあげる。

・

撮影が始まって早一時間。私なりの従順な彼女に彼は何も言わなくて。これで大丈夫なのかなって心配になったものの、

マネージャーのGoodサインに一安心。

押している撮影も最後のシーンへと突入。浮気された上に朝帰りされて、ずっと待っていた挙句の果てに逆ギレされるという胸糞悪いシーンで終止符を打つ。

この構成が変わったのも私だからと聞いた。どれほど日本人は雑に扱われるんだろうか、

ま、いいけど。＿＿＿＿