恋愛症候群。 (ページ9)

今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:31,180 hit

2-05 ページ9

「ん。」

ランチタイムだけのシフト。

着替えて帰ろうとすると、矢部君がいつも読んでいる雑誌を私に手渡してきた。

「あ、そうだったね。ありがとう。」

「いつでもいいからな。」

「矢部君が着替え終わるまでに返すよ。」

「あ、そう。」

近くの壁にもたれかかって、パラパラと雑誌を捲る。

矢部君、こんなの読んでるんだ。

「ふぅん…。」

に、してもさすがに載ってないか。

矢部君が見たことあるって言うからてっきり雑誌のモデルさんかと思ったんだけど。

あの人がいないと分かり雑誌を閉じると、タイミング良く更衣室のドアが開いた。

「うわッ！！びっくりした。」

「ん、雑誌ありがとう。」

「早くない？」

「載ってなかったんだもん、あの人。」

「あの人？」

「あのイケメン。」

そう言うと矢部君は呆れた顔をして雑誌をカバンに突っ込んだ。