恋愛症候群。 (ページ32)

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「最近、晃一とよく会ってるらしいじゃん。」

「あぁ、うん。」

海が微妙な顔をした。

俺がコソコソ会っていると思っているらしい。
まぁ、コソコソしてることはやってるけど。

「たまには佑亮達も呼んでやってよ。独り占めしたいわけじゃないんだろ？」

最近、俺が頻繁に会ってるからな。
佑亮達は時間が取れないのか。

「うん、わかってるよ。」

そうだよな。

いつでも会える訳じゃないもんな。

「あ、今からDVD借りてもいい？」

「うん。」

最近洋画に凝っている海はよくレンタルビデオショップに寄るらしい。

これがまた字幕で洋画を見るんだから海らしいよなぁ。
俺は絶対日本語じゃないと見れない、字幕なんて目が追いつかないよ。

「いつも同じ店で借りるよね。こだわりでもあるの？」

「…いや？借りるのにこだわりも何も無いだろ。」

たまに海について行くんだけど、そのお店どこにでもあるようなチェーン店で意外と古い外観。

どうせなら、最近出来た大きい店舗に行けばいいのに。
そっちのが漫画もあるしさぁ。

ちょっと寂れたようなお店に入ると、海は勝手知ったるように洋画コーナーに一直線。

「…今日、いないなぁ。」

洋画を物色している海が誰に言うわけでもなく呟いた。

「見たかった映画がないの？」

「いや、そうじゃないんだけど。」

「？」

「仲良くなったって言うか、顔見知りの店員さんがいてさ。俺が借りに来ると大体いつもいるんだけど。」

出た。

海の謎のコミュ力の高さ。

ちょっとくらい俺に分けて欲しいな。
そしたら今頃友達くらいにはなれてたかもしれないし。

「そうなんだ。」

海はさっさと決めて、
レジに向かって行った。

その背中を見ながら、何となく不穏な空気を読み取った。

いつか、この日を恨む事になるんだろうか。
このザワザワした気持ちは自分で抑えることが出来なかった。