恋愛症候群。 (ページ23)

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「こ、こんばんは…。」

「あ！こんばんは！」

ハツラツと笑う村田さんになんだかホッとする。

大学からダッシュで待ち合わせ場所に約束の時間前についたのに村田さんは暇そうにスマホを触っていたのだ。

私、待ち合わせには相手より早く着く派なんだけどなァ。

「すみません…お待たせして。」

「あ、俺が早く着いちゃっただけだから。」

いつもいつも、不意をつくように会うものだから今日はなんだか心の準備が出来ていた。

「あの、行く所決めてあるんだけど…大丈夫？」

「あ、はい。全然…。」

村田さんは別世界の人みたいだ。

キラキラしてて、私…
なんだか悪いことをしているような気がしてならない。

アイドルとか、テレビの向こうの人が目の前に現れた様な不思議な感覚。

フワフワする。

テレビで彼を見たことがないし、街に堂々と出ている以上そういう類いの人とは思えないけど。

「ちょっと歩くんだけど、凄い人気らしいんだよ。」

「へぇ。」

高いお店だったらどうしよう。

お礼も兼ねてご飯代を払おうと思ってたけどあんまり高いお店だったら払えないかもしれない。

心の中で静かに焦ってしまって、
村田さんの話が頭に入ってこなかった。