恋愛症候群。 (ページ18)

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「お会計、480円になります。」

「はい。」

ハンドバッグを開いて手探りで長財布を探す。

……あれ？

……ちょっと、待って。

「ちょ。ちょっと待って下さい。」

「はぁ。」

ない。

小さめのハンドバッグに長財布なんてすぐ見つかるのに。

どうしよう、財布がない。

「どうされました？」

店員さんは困ったような顔で聞いた。
この慌てぶり、なんとなく予想はついているだろう。

「すみません。1000円で足ります？」

「えッ？」

「この子の知り合いで、俺と彼女のお会計一緒にお願いします。」

「あ、ありがとうございます。ではお会計ご一緒で…780円になります。」

「ちょ、ちょっと待って！」

「店員さん困ってるから、とりあえずここは任せて。」

村田さんが私を制止して、精算を済ませてしまっていた。

店員さんも面倒な顔をしていたし、仕方ないけど。

でも、貸しを作るのが物凄く嫌だ。
助けて貰った今、そんなことを思うのは見当違いだと言われるかとしれないけど村田さんの自慢げな顔が嫌に見えてしまう。