My lxxx！02 (ページ9)

今日:13 hit、昨日:8 hit、合計:166,291 hit

・ページ9

・

自分が起きたのはあの日から一ヶ月ほど経ったときだったと知った。母はその間、自分を責め立てていたのかやつれていた。

それから少し経ち、退院してもなお体は全く動かず、寝たきりのまま家に戻ってきた。

母は自分が殴ったせいでという罪悪感からか、懸命に自分を世話していた。仕事に家事に、それに増えた介護。
父とはあれ以来会っていないようだ。

動かなくなった息子に希望などなく、生きる意味もないのに、母親が生かし続ける。それが苦痛でしかない。

病人を家で世話するというのは膨大なお金がかかる。元々貧乏な家庭だ。仕事を増やし、家に帰って看病をする。

徐々に母は家に帰るとヒステリックに泣き叫ぶ日が増えた。息子をこんなことにしてしまった罪悪感と、家に帰っても休む暇もない多忙さにどんどん押し潰されていった。

あの日々は母にとっても自分にとっても地獄だ。まるでずっとベッドに閉じ込められているような空間、さらに自分が母を苦しめている現状に、早く死にたいとすら思っていたが、母は罪悪感からか自分を見放さなかった。
しかし、そのせいでどんどん母の首は絞まるばかりだ。

そんな生活が数年ほど続いたある日、また母が仕事から帰ってくるとヒステリックに泣き叫び始めた。今度は涙でぐしゃぐしゃの顔で自分の顔を覗く。

「ごめん、なさい。もう、…もう無理なの。苦しくて。お金も無くて、…ごめん。ほんとに…ごめんなさい。」

何度も泣きながら謝り続ける。

腕一本でも動かせれば、その母の頭を撫でることが出来る。
声が出たら、慰めの言葉をかけることが出来る。
全身が動けば、抱き締めて大丈夫だと伝え、母の苦しみを無くすことも出来る。

全部、自分には出来やしない。
ただの傍観者だ。

少しして落ち着いたかと思うと、何かを用意し始めた。
太い縄を丸く結び、天井にかけた。その前に椅子を置き、上に立つ。

ぎりぎり視界に移る場所で、母は首を縄にかけた。やめてくれ。叫ぼうとしても何も声は出ない。必死に体に力を込めた。勿論体は動かない。

そのまま母は土台の椅子を蹴った。
苦しそうにもがく姿に、目を背けようにも背けられない。動かない体を必死に動かそうと足掻いても、自分はそれを見つめているしかない。
徐々に動かなくなる姿を見つめながら、心の中で叫び続けた。