My lxxx！02 (ページ7)

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練馬区ページ7

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家を出た深澤と目黒は、もういっそのこと東京を出てしまおうかと駅の方へと歩き出した。何も話さず、そのまま目黒は深澤の車椅子を押す。

目黒は出ていったことに、少し後悔していた。ラウールの悲しそうな顔が頭から離れない。ただ自分はこの人に着いていくしかない。この人を信じることを辞めてしまえば、自分が死んだ意味がわからなってしまう。離れてはいけないのだ。

一方で深澤は、ゆっくりと動き出す車椅子の上でぼんやりと昔のことを思い出していた。

深澤は練馬区で育った。ボロくて小さなアパートで母と父との三人で暮らしていた。

しかし、父親は一ヶ月に数回ほどしか家に帰ってこない人だった。さらに家に戻ってきたと思えば勝手にお金を拝借し、母と激しく口論をして落ち着くとまた何処かへ消えてしまう。

ろくでもない奴だが、帰ってくる度におもちゃやお菓子を渡してくれていた。まるでこのことを誰にも言うんじゃねえぞとでも言うように。しかし、そんな人をそこまで嫌いという訳ではなかった。
ただ、父親としての義務を果たしていたことは一度もない。

母はパートに行って、疲れていても家事をして。こちらに構う暇もなく必死に働いている姿は、悲しいようなかっこいいような。
そんな人が父が帰ってくる度に怒号をあげている姿を見るのは、正直良い気はしていなかった。
父が帰ってくるときは、一人押し入れの中に隠れ、二人の喧嘩が納まるまで待っているようになった。

そんな生活にも慣れ、徐々に自分の親は普通じゃないとわかってきていた。高校生になり、そろそろ親元から離れようと考えていたある日、また父が家に帰ってきた。
おもちゃもお菓子も要らない年頃になった自分には、適当に漫画を一冊目の前に置くようになっていた。