My lxxx！02 (ページ44)

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「あ、ラウール。お帰りなさい。」

目の前に広がるのは豪華な食卓。母と父は当たり前かのようにその前に座っている。

ru「あれ、…どうしたの？仕事は？」

「ラウール、今日は早めに夕飯を食べようか。ほら見て、こんな豪華な食事滅多に出来ないだろ？」

「…嬉しくないの？」

ru「いや、嬉しいけど。…理由がわかんないから。」

「ラウールに幸せを感じてほしいから用意したんだよ。ほら、座りなさい。」

まだ手も洗っていないのに、腕を引かれ椅子に座らされる。神善茲創会で何度も聞いた"幸せ"という言葉に違和感を覚える。

「いただきます。」

ru「……いただきます。」

一口、一口。不信感を感じながらも食べ続ける。両親は今日はどんな一日だったのか、そんな他愛もない話を続ける。徐々に緊張がほどけていく。
いつも通りの楽しい時間。一時間もすれば、豪華な食卓も空になっていた。

「ねえ、ラウールは幸せ？」

ru「どうしたの急に。幸せだよ、俺は。二人と入れたら、ずっと幸せだよ。」

このとき、この変な空間は母親の情緒不安定からきているのだと思った。きっと急に辛くなった母が、もう一度自分への愛を確かめようとしているのだと。この一年でいろいろなことがあった。そんな母を安心させるためにただいつもの感謝を述べた。

「良かった…ラウールが幸せなら。きっと、皆であの子のところに行けるね。」

「ああ。」

両親はいつもの暖かい表現で微笑んで。おもむろに父親が席をたつ。
キッチンに向かって取り出したのは、綺麗な長い包丁。

やっと、何をしようとしているのか気がついた。あの子の元へ、亡くなった弟の元へ行こうとしているのだ。
ただの軽い母の情緒不安定なんかじゃない。もう、狂ってしまっていて、後には戻れないところにいるのだ。
今の自分の状況に、案外冷静に口が動いた。

ru「…やめなよ、それ、置いて？」

「大丈夫、ラウ。これが正しいんだよ。頂仰様が仰ったんだ。」

ああ、あいつのせいで。俺達はいつのまにか狂ってしまっていたらしい。