My lxxx！02 (ページ42)

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ラウールがリビングに戻ったのは深夜２時だった。その頃にはもう皆は寝ていて、やっと心が落ち着いたからと水を飲みにリビングに戻った。

ru「…え。」

誰もいない。そう思っていたのに、目の前には椅子に座る岩本。少し眠そうな顔をしていたがラウールを見るとすぐに顔を上げた。

ru「どうしたの？こんな遅い時間に起きてるなんて。明日仕事ないの？」

iw「ん？まあ仕事はあるけど、ラウールが起きてきたときに一人だったら寂しいかなって。」

そう言って席をたつと、ラウールの前にココアを置いた。

iw「…正直、俺が買ったココアだから誰にもあげたくないけど、ラウールは特別にな。」

そう言ってまた椅子に座る。ラウールも岩本の目の前の椅子に座った。しかし、岩本を直視することが出来ない。
岩本の優しさが、今は苦しい。傷心した心に触れた優しさが、暖かすぎてそれだけで涙が出そうになった。

ru「俺の話聞いた？」

iw「ラウールが記憶戻ったって話は聞いたけど、それ以上は。」

ru「…俺ね、幸せだったよ。記憶の中の9割は。」

iw「そっか。」

ru「本当に最後、最後だけ悲しかった。弟が死んでね、辛かったとき変な宗教に入って。知ってる？神善茲創会って言うんだけど。」

iw「ああ、名前は聞いたことあるよ。」

ru「最初は暖かくて、苦しさを紛らわしてくれる場所だった。けど、徐々に変だなって思い始めて。
そう、神善茲創会を辞めようとした女の人がね、何度も殴られたの。当然の報いだって皆が言って。小さい子供も、俺の親も、その人を殴った。」

ラウールはそこで一度一つため息をついた。

ru「最後に俺の番が来て、…俺も、その人を、…殴った。」