My lxxx！02 (ページ34)

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そんな自分は何も考えずに医者を目指し、大学へと進学した。
裕福で、秀才で、何不自由ない生活。
今振り返れば、このときから徐々に自分の中で何かが狂い始めていた気がする。

毎日大学に通い、それなりに友人と話す。

「お前は将来医者になるんだからな。」

そんな父の言葉は至極真っ当であり、そのために医学を学ぶ。
素晴らしい人生じゃないか。今までの努力で登り詰めた道。自分の目の前には医者になり、裕福な生活をするという景色しかない。
それしかない。

何かが、足りない気がしていた。
しかし、普通に生きていく人よりかは幸せな人生を送ることが出来るのは間違いない。
お金もある。名誉も地位もある。そんなことを考えていたとき、友人に言われた。

「そういやさ、阿部は何で医者になるの？」

ab「え…？えっと、…何でって何が？」

「いや、大した意味はないけどさ。何でお前ってずっと医者目指してんだろって。」

何故だと問うようなことだろうか。
だって医者になれば、忙しくとも裕福な生活を送れる。名誉も地位もある。それさえあれば、俺は母のような人にはならない。上の人をぼんやり見上げて適当に羨ましがってるような凡人にはならない。
それに、医者になるんだろと父に言われたから。

頭の中に浮かんだ文章を友人にそのまま話すことは出来なかった。
今の思っていることは何だか気持ち悪くて不気味で。

どうして、自分は今何のために、医者になるために、勉強して、必死に努力して、それから、…その先に自分は居るのだろうか。

ぐしゃぐしゃの文字が頭の中に浮かんでは消えて、急に体が重くなった。