My lxxx！02 (ページ30)

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岩本と深澤の話は二本目の煙草を取り出すまでに至った。朝日は登り始めている。
結局どうすればいいと問う深澤への回答は見当たらず、岩本は何も言うことは出来なかった。

fk「ほんとさ、俺は最低なんだよ。」

iw「…何言ってんの。そんな訳ないだろ。」

二本目を吸い始めた頃、急にぽつりと呟いた言葉に岩本はすぐに反論を返した。

fk「…いや、反吐が出るほど最低な人間だ。…いつから俺は、こんな最低な人間になったんだろ。」

iw「…いつから。」

本当はその言葉に否定をしたかった。でも、深澤が自分のことを最低だと思うようになったきっかけ。いつから。それは。

iw「…それは。」

生きるのを。

iw「生きるのを」

…諦めたときだ。

しかし、岩本は最後の言葉を言えなかった。
諦めた、違う。諦めるしか無かったんだ。死にたくても死ねない。そんな時間を生きた人間の心情なんて誰にもわからない。
言わなくったって、本人はわかっているはずだ。

fk「…最後まで言わないんだな。」

iw「…俺に言う権利がないから。」

fk「そんな深く考えなくてもいいと思うけどね。」

iw「…そろそろ帰るぞ。もう朝だし。寒くなってきたし風邪引くよ。」

fk「死んだら寒さを感じないし、風邪も引かないんだよ。」

iw「うるさい。」

いつしか淀んだ空気は消え去り、屋上から家に戻ってきた。まだ朝の六時。そんな時間にいつも起きているのは宮館だけのはずだ。勿論台所から物音がする。
しかし、その日はリビングにもう二人起きていた。佐久間と向井だ。

kj「あれ？おかえり。出てたの知らんかったわ。」

向井は二人が帰ってきたのに気づき、いつも通り声をかけたが、佐久間は気まずそうに目をそらし、また寝室へと戻っていった。

iw「佐久間どうしたの？」

kj「…あー、まあ、いろいろあるんよ。」

少し言葉を濁しながら笑う向井に、何も聞くことは出来なかった。