My lxxx！02 (ページ28)

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やってられるか。ページ28

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夜の２時。
皆が寝静まった頃、岩本は体を起こし、家を出た。この日一日中、深澤に何を言えばいいのか考えていた。やっと覚悟を決め、一時頃に家を出た深澤の姿を追いかけ、マンションの屋上に向かった。きっとそこに居るはずだ。

予感は的中し、広い屋上の端にあるベンチに座っている姿を見つけた。

fk「あれ、照じゃん。」

iw「お前、ここまで車椅子無しで来たの？」

fk「いや出すの面倒なんだよ。杖ありゃここまで来れるかなって。」

気だるそうに座る深澤の横に、岩本はゆっくり座る。周りは静かで、それでも下を見れば騒がしいほどのネオンの光。そのせいで星空は見えないが、なんとも言えない形の月が輝いていた。

iw「今日、ごめん。勝手に連れてったから。」

fk「怒ってないよ。照の気持ちも知ってるし。」

岩本は何を言えばいいのかわからなくなり、沈黙を誤魔化そうと煙草を取り出した。

iw「吸う？てか、吸ったことある？」

fk「あー、高校のときちょっと。」

iw「うわ、最低だな。」

二本の煙草を取り出し、火をつける。幽霊の姿で吸えるのかも不安だったが、生きてるときと何も変わらないようだ。

fk「大嫌いなんだよ、あいつ。」

深澤は前を見据えたまま、岩本にぶつけるように話し始めた。

fk「親父、何が罪滅ぼしだよ。もう、こっちは死んでるのに。」

iw「…でも、あの目は心の底から後悔してた。」

fk「…だから、大嫌いなんだよ。」

深澤は一つ紫煙を吐き出すと、空を見上げる。

fk「死んでんだよ、俺は。後戻りなんて出来ないんだよ。ずっと怨んでるのに。…怨んでるのに、後悔して罪滅ぼしなんかして、じゃあ俺は、許せばいいの？」

iw「…許、す」

fk「…こんなにも怨んでるのに。…あいつがどんなに償おうが俺が苦しんだ時間をやり直せるわけでもなくて。ただ怒りの矛先が消えてしまって。」

岩本はゆっくりその言葉を頭の中で何度も反復させる。いつしか、煙草の灰が床に落ちた。

fk「…不毛な償いを、許さないといけないの？だったら、俺のこのやるせない気持ちはどこにぶつければいいの？…どうすりゃいいの？」

加害者が後悔をし、償いをする。じゃあその先にあるものとは。

悲しみと怒りの混じった声色に、岩本は何も言えなかった。しかし、初めて本音で話せているような気がして、岩本は深澤を見つめた。