敗北に殺される ページ27
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nb「うま！これ駅前のケーキ屋？」
dt「そう。こじんまりした店だったけど結構美味しいね。」
そう言って皆はケーキに手を伸ばす。色取り取りの９種類のケーキは、どれも格別に美味しかった。
kj「そういや、佐久間くん達はどうやったん？」
sk「え？」
kj「お墓。」
そう言われた佐久間は気まずそうに目線を右往左往させた。深澤の方を見れば、我関せずとでも言うようにケーキを食べ、岩本は何を言えばいいのか考えているようだ。
iw「普通。特に何も。」
sk「え、ああそう！何もなかった！誰にも会わなかった！」
ab「…ふーん。」
佐久間の慌てた態度を見て、何かあったということは誰しもがわかってしまったが、誰も言及するつもりはなかった。
ただ、阿部はその態度を見て自分は行かなくてよかったと少し安堵した。
dt「あ、そうだ。目黒、今度ここのケーキ屋行こうよ。」
mg「…俺？何で。」
突然声をかけられ、驚いた目黒はケーキを口に入れたまま話す。
dt「ここの店主がさ、死んでる人と生きてる人の見分けがわからないくらい霊感が強いって言ったでしょ。目黒、話聞きに行きたくない？」
mg「…あぁ。」
生前、そのケーキ屋の店主と同じ力を持ち、そのことで疎外感から死んだ目黒とは正反対に、楽しそうで豪快な性格の店主。勿論今でも生きるという選択を選んだ人だ。
同じ境遇だったにも関わらず、あまりにも違う生き様に、宮舘はこの人から目黒が前に進める方法を学べるのではないかと感じた。
一方で目黒はそんな話を聞き、その人に会いたいような会いたくないような。単純に、その人と会うということは生前の苦しい生活と向き合うことになるわけで。でもいつかは向き合わないといけないわけで。
何も言えずに居ると、ラウールが口を開いた。
ru「めめ、会いに行きなよ！嫌なら俺も行くよ？」
mg「…あー、…まあ、今度。」
否定とも肯定ともとれるような返事を返し、席を立った。
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作成日時：2020年8月11日 17時
