My lxxx！02 (ページ23)

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廃人宣言ページ23

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どこか悲しそうな顔をしていた佐久間は、車に戻る頃にはいつも通りの騒がしさに戻っており、楽しそうに窓の外を眺めている。
今、車は深澤が育った町、練馬区へと向かっている。

fk「あのさ、本当に俺のとこも行くつもり？」

sk「行くよ、大丈夫だって何も起こんないよ。」

そう能天気に答えられ、深澤は一つ溜め息をついた。徐々に景色は見慣れた景色に変わっていく。
苦しかったことがたくさんあったあの町へ。

なんだか落ち着かない心に深澤は一度目を閉じた。

iw「着いたよ。」

そんな声に目を開くと、車は小さな墓地に停車していた。

iw「本当に行きたくないなら行かなくてもいいんだからな。」

fk「いや、行くよ。」

ここまで来たなら仕方ない。そう思い、車から下ろしてもらう。
きっと自分の墓は、佐久間のものみたいに整頓されてなどいないだろう。自分と母が眠る墓にお参りする者など誰もいない。もし居るとしたら、自分の学生時代の友人だろうか。

きっと薄汚れていて、花なんて飾ってなくて、線香なんて物はない。そんな現実を目にするのが嫌だ。

しかし、それは自分の想像とは全く正反対の姿でそこにあった。
綺麗な墓石。二つの花瓶に咲く花束。煙のたつ線香。

sk「あれ、誰か今来てたのかな。」

fk「いや、…そんなわけ、」

「あの、そこに何か用ですか？」

そんな声に岩本と佐久間は振り返った。
中年の薄汚い男性が、桶を左手に持ち、こちらを見つめている。
きっとこの中年の男性には岩本の姿しか見えていないだろう。

深澤は声の方へと振り向かなかった。振り向かなくてもわかってしまう。その嗄れた声はよく知っている。

「……あ、息子の友人ですか？」

…そういうことか。理解した岩本は深澤の方を見るが、深澤はその男の方を見向きもしていない。佐久間は深澤に何も起こんないよと軽々しく口にしたのを後悔した。