My lxxx！02 (ページ17)

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心霊番組を騒ぎながら見終わると、ぞろぞろと寝室に皆は向かう。そんな姿を見つめながら、ラウールは机に伏したまま動かずにいた。

sk「ラウ、何してんの？皆もう寝るよ？」

ru「…うん。」

ぼんやりとしたままのラウールに、熱でもあるのではと佐久間はおでこに手をやるが、何も感じない。そりゃそうだ。もう死んだ人間に体温などなく、さらに熱なんて出さない。

ru「…あるわけないじゃん。」

sk「じゃあなんでそんなぼんやりしてるの？」

ru「…考え事。」

ぽつりと呟くように話すラウールは、どこか遠くを見つめながら、自分の中にある少ない記憶を思い返していた。

ru「…俺、一家心中で死んだんだ。」

sk「…は？」

呟いたラウールは悲しそうな顔で広いリビングを見つめる。いつも９人が騒がしくぎゅうぎゅうになりながら生活しているリビングにはもう佐久間とラウールしかおらず、寂しさを感じていた。

sk「え、もしかして記憶全部思い出した？」

ru「…違う。思い出せてないんだけどね、…きっとそうなんだよ。」

心中という言葉を聞いたとき、他人事のようには感じなかった。そして誰かの

『ごめんな、こんなことになって。』

という苦しそうな声。それと海での母、父、弟と自分の笑顔で楽しそうな家族。未だにその二つしか生前の記憶は思い出せない。

しかし、何となく気づいてしまった。

背中の傷が何故出来たのか。どうして自分は死んだのか。

ru「…阿部ちゃんはもう俺のことわかってたんだろうな。教えてくれなかったのは、優しさなのかな。」

sk「何言ってるの…？」

ru「よし、佐久間君寝よう。寝ないとしょっぴーに怒られるから。」

sk「え、…うん。」

きっと、ラウールが未だにたどり着けない生前の記憶は阿部はもう調べられているのだろう。何のために隠しているのかは知らないが、明日全て聞こうと眠りについた。