My lxxx！02 (ページ1)

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その男は深澤辰哉と名乗った。段ボールをひいて屋根のある路地裏に取り合えず連れていった。

fk「いやぁ、助かった。あそこから何ヵ月も動けなくてさ。」

mg「…じゃあ。」

fk「あ、ちょっと待ってよ。目黒君、だっけ？」

何年生？好きな食べ物は？部活はやってないの？簡単な質問を何個もされ、一言ずつ返していった。最初は面倒くさいと思っていたが、次第に打ち解けていき、さらに久し振りに誰かと話せたことに心が高鳴った。

次の日も次の日も、目黒はその場所に行き、深澤と話すようになった。誰も自分のことを肯定してくれず、誰かと関わることを辞めた目黒にとって初めて友人のような人間が出来た。

次第に目黒は自分のことを全て話すようになっていた。

mg「昔から皆は俺のことを気味悪いって。…見えないものが見えてる姿って、ほんと気持ち悪かったんだろうね。」

fk「そんなことないよ。」

mg「親も友人も居ないし、将来の夢なんて無いし。…もう、死んでもいいのかなって。」

fk「…ああ、それはいい案だね。」

mg「…え？」

思っていた返し方ではないことに少し動揺する。別に本気で思っていたわけではないのだから。

mg「…冗談だよ。」

fk「あ、冗談なの？でもさ、何で生きてるの？」

そんな質問に何も返せないでいると、そのまま話を続ける。

fk「生きてる理由が無いなら死ねばいいじゃん。」

mg「…何か怖いよ？そんなこと言わないでよ。」

fk「何で皆生きてるんだと思う？」

mg「…え、…楽しいこととか、好きなものがあるからじゃない？」

fk「今の目黒にそれはないわけだ。」

mg「…まあ、そうだね。」

fk「結局死にたくない理由ってさ、死んだらどうなるかわからない恐怖だと思うんだよね。
あと、周りの皆が死ぬのは悪いって意見を持ってるから。そんな周りの意見を鵜呑みにしてたら、楽しくないよ。」

mg「…そうかな。」

fk「楽しいことも何も無いんだったら死ねばいい。死んで俺みたいに未練があったらこの世に残れるし、何もないならまた新しい世界に行ける。怖がってたら何も出来ないけどね。」

何となくその話を聞いていた。何だか頭が働かない。

fk「死は新しい世界に行くための切り札だよ。」

そんな話を何度も聞くようになり、徐々に自分の中での考え方が変わっていることに気がつけなかった。そのときの目黒の心は深澤の言葉を中心に動いていた。