トラップ ページ42
勝利の余韻に浸る和やかな空気から一変。
監督とコーチに軽くあしらわれた鬼道。
どうやら一星のことについて聞いたが、プライバシーだとかの関係で何も教えてもらえなかったみたいだ。
そして取り乱す鬼道が遂に、チームメンバーに一星の悪行を告白する。
「次の試合でカタをつけてやる………！」
拳を強く握る鬼道。
「有人、落ち着いて。修也や円堂が手を掛けられて許せない気持ちは分かるけど」
Aが鬼道の肩に手を置いた瞬間、扉が勢いよく開けられる。
「全員そこを動くな！我々はFFI管理局の者だ！」
数人の管理局の者、と名乗る者達は部屋に入ってくるなり選手たちの荷物を物色し始めた。
「おい、やめてくれ！」
「それは俺の荷物………」
口々に悲鳴をあげる選手など完全に無視。
物色の末、一人が見つけた錠剤を高く掲げた。
「これは誰の荷物だ？」
「俺のです」
鬼道がそう言うと、錠剤を掲げた人は鬼道を睨む。
「これはドーピング効果のある薬だな！」
「待って下さい！有人がそんなことするはずありません！」
拘束されていく鬼道を前に、Aと円堂は必死に抗議するが全く聞く耳を持ってくれない。
「鬼道！」
「待ってくれ！話を聞いてくれ！これは何かの間違いだ！」
連れて行かれる鬼道を追いかけようと、風丸と円堂が駆け出すが扉を勢いよく閉められて阻まれる。
呆然と立ち尽くすしか出来ないAたちの前に、入れ替わって一星が入ってくる。
卑しい笑みを浮かべながら、一星。
「あーあ、鬼道さん失格になっちゃいましたねぇ………」
今、この瞬間。
一星はAを含む多くのチームメンバーを完全に敵に回した。
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作者名：にんじんみかん | 作成日時：2019年4月11日 23時
