【イナオリ】破壊の女神 (ページ26)

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ぴろりん。

必死に練習をして、休憩をしていた二人の腕から可愛らしい音が聞こえた。

「………監督からだ。次の試合に向けてのミーティングかな。戻ろうか」

内容を見たAはベンチから立ち上がる。

「あの、先輩ッ！」

いつになく力の籠った声で名前を呼ばれて驚いて振り返る。

「ど、どしたの」

「僕、先輩、の………こと」

俯いていて表情は窺えないが、上ずった声。

そのことから、次に紡がれる言葉と一星の表情は容易に予想することが出来た。

「す、す………」

「………」

「スキー上手そうだなと思ってました！」

「………へ？あ、そう………」

予想してなかった言葉に間抜けな声が響き渡る。

スキー、一回しかしたことないけど。

「あ。………今度僕と一緒にスキー行きましょう…」

自分が何を言ったのか気づいたのか一星は急にテンションが下がってしまった。

「うん………」

そんな微妙な雰囲気のまま、私たちはミーティングルームへと足を進める。

もちろん、移動中は無言であった。