【刀剣乱舞】喋ってはいけない審神者 (ページ5)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:98,193 hit

(3) : 喋ってはいけないページ5

＊＊

ここは審神者の執務室。

こんのすけから送られてきた少女の“声”についての資料に目を通した後、少女は大きく溜息を吐いた。

その隣で手入れ部屋から復活した加州が｢あ、らめぇ…！｣と体をビクンビクンとさせていたので慌てて口元を手で押さえる。

少女の“声”について分かったことは3つ。

1つ目は、付喪神や霊力を主にして活動しているものに少女の声を聞かせると霊力のせいで(色々と)やばくなる。

2つ目は、声が出た時近くにいるもの程やばくなる。

そして最後の3つ目は、声を聞かせなければ通常通りに接する事が可能。

少女はどう足掻いても抜け出せないローションたっぷりの深い落とし穴に落ちた気分になった。

少女の審神者としての幕開けは他の同期の審神者達と比べて随分と試練が多い。まぁ、全く意味の分からない試練過ぎてクリアする気もないのだが

とりあえず…。と少女は隣にいる少しだけ息が荒い
加州に体を向けた。加州も何かを感じたのか姿勢を正す。

こんのすけからは執拗なまでの『書面での報告要求』に若干の不満を感じながらもこれから共に戦う為にはしょうがない事だと己を奮い立たせ机の上に山積みに置かれているキャンパスノートを1冊取った。

真っ白なページに少女は加州に向けての挨拶を書いた。

『初めまして、加州様。この本丸の審神者のAです。色々とご迷惑をおかけする点が多々ありますが歴史を守る為にあなた様の力を貸して下さい。』

ノートを見せると加州は静かにそれを読み始める。
良かった、どうやら現代文字は分かるようだ。

少しだけ安心していると加州は読み終えたのかまだ赤みの残る頬でもじもじと眉を寄せる。

｢……主の声の事とか色々分かったけど…俺、さっきあんな姿見せたけど普段はちゃんとしてるからね！！｣

『はい、もちろんです。先程はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。』

｢いや、別に気持ちよかったから迷惑じゃないけど……って、わぁぁ！今のナシ！違う、違うから！｣

最初の方はボソボソと言っていてよく聞こえなかったのだがとりあえず違うと否定している加州に頭を縦に振る。

そんな少女を見て加州は｢ふぅ…｣と息を吐いた後改めてと少女と瞳を合わせた。