君と君の好きな人 2

58 ページ9

side 宇野昌磨

ーピコーン

ベットで呑気に寝転がっているとラインの通知音が鳴り響いた。


"おめでと"


ぶっきらぼうなそんなメッセージが届いていた。
みーだ。


"ありがとう！みーの明日のフリーも期待してる"

期待なんてプレッシャーかけてるみたいでまずいか？
でも、みーだしな。
俺の期待なんてあってもなくても関係ないだろう。

"期待しないほうがいいと思う"

みーがそんな返信をしてくるなんて意外だ。
適当にありがとうなんて言葉が返って来る気がしていた。

"まだ、体調でも悪いの？？"

それはあり得ることだ。
貧血なんて症状は収まるにしても一日二日で治るものじゃないし。

"それは別に。ただ、私ロミジュリ下手くそだから"



確かに。
とまでは言えないが、過去の大会で披露した演技を思い出すとそんなことないとは言えない。
なんというか、情感とかそういうものがないのだ。
ロミオとジュリエットに不可欠な切なさや苦しさの演技や表情が欠如している。



"今から不安になっても仕方ないじゃん"

それしか言うことがない。

多分、みーは恋とかしたことなさそうだからロミオとジュリエットはなおさら難しいプログラムなんだろうなぁ。

"まぁ。別に不安とは思ってないよ。練習でしたことしかできないわけだし。ただ、安っぽい演技になるからお客さんには申し訳ないけど。"


相変わらずドライだなぁ。
ほんとに昔から変わらない。




"まぁ、みーにはまだ難しいよな。恋もしたことないのにロミジュリなんて"




今までのペースですぐ既読はついた。



しかし、既読のままで新しいメッセージはなかなか来ることがなかった。

59→←57

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す