君と君の好きな人 2

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side 宇野昌磨

あの後、みーは救護スペースで適切な治療を受けて昨日はショートプログラムをきっちり滑っていた。

ミスはほぼなく、65点代で3位につけていた。

あれだけの迫力の演技ができたなら、体調はもう大丈夫だろう。



でも、俺は何か重要なことを見落としているんじゃないだろうか。



「お前、最低だな」



数日前にゆづくんが吐き捨てた言葉。
みーの見たことないくらいつらそうな顔。



頭から離れない。




フリースケーティングでめだったミスなくまとめ、ジュニアグランプリファイナルで優勝したというのに心には何かつっかかっているような感覚だった。




記者会見を終えて、ホテルの部屋にやっと戻れた。なのに、まったく心が落ち着かない。

何か、見落としたらいけないことをやはり見落としている。
だとしたら。それはいったいなんだ。

ゆづくんは。

ゆづくんはそれに気づいているから俺に最低なんて言葉をかけたんだ。

今日の男子ショートプログラム。
ゆづくんはあんな大きな故障明けだっていうのにトリプルルッツからのコンビネーションに失敗は出たものの完璧ねクワドトーループを決めて首位に立っている。

どこをとってもゆづくんには敵わない。

宇佐美さんがゆづくんを選ぶのなんてごく自然なことだ。



「もっと頑張んないとなぁ」



ベットに体を沈めるとそんな独り言を呟いてみる。

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