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side 宇野昌磨
「あれ?」
今日の公式公式習を終えると会場の出入り口にみーの姿を見つけた。
ゆづくんやハビエルや、みーのコーチのオーサーはバックヤードにいたのになんでみーがこんなとこにいるんだ?
ゆづくんを見ると宇佐美さんのこと思い出して複雑で顔あわせないように出てきてしまった。
でも、あれは確かにゆづくんだった。
「みー?」
みーの後方から声をかけるとみーは肩をびくつかせた。
「しょ…昌磨…」
みーはあからさまに安堵の表情を浮かべた。
でも、すぐに無表情に戻してしまった。
「なんだよ。大丈夫か?」
みーの無表情にも微妙に違いはあって、何故か今日は冴えない顔をしていた。
「…うん」
もともと、大丈夫かって聞いて何かこぼすようなタイプでもないか。
「てか、さっきゆづくんたち中にいたよ」
館内のほうを指差した。
「あ…そう」
「行かなくていいの?」
ゆづくんとなんかあったのか?
みーは取り繕ってはいるけどどうにもぱっとしない。
「いいよ。別に…」
みーらしくない。
なんで、泣きそうな顔してるんだよ。
「なんかあった?」
うつむいたみーの前髪が邪魔をしてみーの表情が見えにくい。
思わずみーの前髪を触れてしまう。
みーは弱々しく俺の手を払った。
「何もないよ。それより昌磨こそ、葉月ちゃんとなんかあった?」
なくはない。
でも、みーに話してもいいことなのか。どうなのか。
「その顔はなんかあったよね」
みー自身の話しのときは余裕なさそうにしてたくせに人に問い詰める時は余裕綽々だな。
「まぁな」
みーが人にペラペラ喋るとも思わないし、みーに隠し事するのは13年間の付き合いなのに水臭い気がした。
「ゆづくんに別れ話持ちかけられるかもしれないらしい」
みーに目をやると、何故かみーが青い顔をしていた。
「おい。みー?」
「あ…うん…」
「大丈夫かよ?」
そういえば、みーは痩せたな。
もしかして体調悪いのか?
「みー?座るか?」
みーは足に踏ん張りが聞かないのか今にもよろけそうだった。
俺はみーの顔を覗き込む。
「しょ…ま」
みーは崩れ落ちそうになって、あわてて肩を支えようとした。
しかし、その前にみーの腕を何者かが掴んだ。みーの膝は崩れ落ちたものの、派手に倒れることはなくしゃがみこむ形でその場に留まっていた。
「ゆ…ゆづくん」
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らっき(プロフ) - 完結されてからかなり経ってしまっていますが、読ませていただいてすごく好きな作品になりました。書いて下さってありがとうございます!それだけ伝えたくてコメントしました(*^^*)見てくださるといいなぁ、なんて思ってます! (2021年12月7日 22時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - 大変お久しぶりです。最後まで読ませて頂きました。ぜひとも、時間があるときで構いません。名前を自分の名前に変換したものを読みたいので、よろしくお願いします。 (2018年9月2日 8時) (レス) id: 058ee396c0 (このIDを非表示/違反報告)
納子(プロフ) - yuccoちゃんさん» ほんとうに読んでいただきありがとうございました! (2018年4月9日 9時) (レス) id: 21906f0f83 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - こんばんは!ゆづのドSなセリフにトキメキました!言われたい!サイコーの終わりでした!番外編で続きも読みたいです! (2018年4月8日 1時) (レス) id: 72d5e5baf7 (このIDを非表示/違反報告)
納子(プロフ) - 鹿さん» いつも丁寧なコメントをありがとうございます。読んでいただけてほんとうに嬉しいです (2018年3月29日 20時) (レス) id: 21906f0f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:納子 | 作成日時:2017年9月7日 21時